「さかんだな通り」魚河岸、江戸時代面影を残す通りを探索 -木更津⑽

「さかんだな通り」は、かつて魚河岸があったことから名付けられた通り。今も老舗店がひっそりと残っている地域を探索する。
木更津・さかんだな通り
千葉県木更津市中央2丁目。有名な看板建築「安室薬店」がある交差点から北に伸びる道が、「さかんだな通り」。
由来は、かつて魚河岸があり、魚屋がたくさんあったことから魚店(さかんだな)と呼ばれているそうだ。ちなみに現在は埋め立てられ、海岸線が西へ移動しているため海からは少し離れている。
近くの人に取材をしたら「さかんだな通りには江戸時代からのお店も残っているよ~」とのことだったので期待大!?
森田屋
木造建築が見えてきたが、営業している雰囲気はない。なんだろう?

昭和34年の住宅地図では「森田屋支店」と書いてある。2012年のストリートビューでは隣にも古い建物があるが取り壊されたようだ。
支店ということは本店があるのかな?昔はお惣菜を販売していたとかの情報もある。
海苔 ヤマニ
昭和の地図を見ると「山二(やまに?)」が屋号のお店がたくさんある。

「海苔ヤマニ」と書いてあるお店も、関係があるのだろうか。扉の奥に商品が見えたので営業しているようだった。

少し進んだ向かい側にあるビル。

よく見えないかもしれないが、「フードストア ヤマニ」というお店だ。食料品店だったのかな~
ヤマニ網島商店
フードストアの向かい側が、江戸時代からつづくお店「ヤマニ網島商店」。ヤマニがここにも…

平成23年に国登録有形文化財に指定されている。なのに正面から撮影するのを忘れるという失態。

千葉県のホームページに詳しい説明がある。
木更津の市街地に通称「さかんだな」という通りがある。海産物を取り扱う店が多く連なっていたことから、そう呼ばれるようになったという。その通りにあるのが、ヤマニ綱島商店で、慶応2年(1866)創業と伝わる乾物屋である。
江戸末期の建築で、木造平屋一部2階建、切妻造桟瓦葺。通りに西面して建つ。大壁造の2棟を前後に並べ、正面と南側面に下屋を付け、正面では銅板葺の庇を通す。建物の正面は開放されており、側面は漆喰塗の土蔵風に仕上げられている。内部は前店蔵が店舗、中店蔵が仕事場で、棟高の異なる蔵造が前後に並ぶ独自の外観をもつ。
この日は定休日だったのか、シャッターが閉まっていた。
江戸時代末期の建築、なんといっても横から見たデザインが素敵。2棟の古い建物が前後に並ぶ建物は珍しいと思った。

さかんだな通りの面影を残す鮮魚店「権九商店」は現在も営業中。写真を撮るのを忘れてしまった。
新しく民家になっている場所も多いが、数少ない木造建築が海の香りを漂わせている。

旅館八幡屋
さかんだな通りから西へ、海の方へ向かう。

わ~真っ黒な建物。蔦が絡まっているけど、大きな建物だな。

火の用心。確かにそうだ。

左手にあるのは「料理旅館八幡屋」。青い看板が残っている。


しかし、現在は営業していないようだ。残念。

木更津港が賑わっていた頃は、多くの人が宿泊したのだろう。

昭和46年の地図では、隣に「八幡屋質店」も併設。芸者さんを呼んだりすることもあったのかも。

小さな蔵のような建物もあった。しかし、閉業してしまったので解体される運命なのだろうか。

現在の港へ
割烹旅館の目と鼻の先は木更津港。

大きな船が停留している。後で知ったが、新鮮な海鮮を食べることができる飲食店も近くにあるらしい。立ち寄れば良かったな~

県道90号線沿いにある「としまや弁当新宿店」は最近、秘密のケンミンショーで「チャー弁」が美味しいと紹介されていた。

24時間営業というのもびっくり!様々なメディアで取り上げられ、行列店になっているそうだ。

さかんだな通り以外にも、港町の名残があるかと思って探索。

「浜野屋海苔店」。現在も営業しているお店を見つけると嬉しくなる。

名もなき通りにある建物もこの場で記録しておこう。

潮風で錆びてしまったのかな、「明治」と書いてあるように見える。

山田眼科医院。こちらは今回の木更津旅の目的の一つでもある近代建築なので次回じっくりと紹介する。

魚河岸の面影が残る木更津の「さかんだな通り」。他のレトロ建築と違ってちょっと地味だけど、木更津が賑わっていたことを示す貴重な街並みだ。
(訪問日:2021年2月)
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