港町の面影そのまま「検見川商店街」。レトロ好きを唸らせる建物の宝庫だった -検見川⑹
「検見川」はどんなイメージを持っていますか?実は、ものすごく歴史深い場所で、現在も開発されていない昔のままの街道沿いを見ることができる。
千葉街道の宿場町としても栄えた検見川。予想以上に「海の街・検見川」の面影を堪能することができるコースだった。
歴史深い検見川
検見川は「海のまち」として「千葉市観光ガイド」に紹介されている。
江戸時代から、漁業の中心地として賑わう港町だったそうだ。かつては打瀬舟保有台数1位を誇った港町である検見川。 打瀬舟をあしらった八方除のお守りも検見川神社にあるという。
地勢は管内一帯緩慢なる丘陵南下して海岸に市街を成す。素と一漁村に過ぎざりしも今や商家軒を並へ、澱粉・貝灰・鉄工の工場あり。二三旗亭の旅客を慰むる何等の不自由なく、又広く移住者を迎えつつある。臨海保健郷は東京湾を一望に収め、海水清澄にして遠浅なれば、老幼婦女も宜敷、又稚貝養殖場もありて汐干狩りの清遊に好適なり。
「千葉県検見川町梗概」より引用
漁村、海水浴場、潮干狩りの場所としても賑わった場所だったことがわかる。昭和42年に埋め立てが開始され、海は遠くなった。
松井天山が昭和5年に描いた「千葉県検見川町鳥瞰図」に詳細な様子が描かれている。
房総街道(房総往還)に沿って、上宿、仲宿、仲下宿、下宿、新田とわけられている。房総街道沿いの町場三は、現在も鳥瞰図とあまり変わらないというのが驚いてしまう。
実際に歩いてから、帰宅して鳥瞰図と見比べたが、道幅もお店も昔のまま。逆にどうしてここまで残されているのかが気になるくらい。かといって、佐原のような一大観光地ではないし、千葉県に詳しいと思っていた私も知らなかった。
もっと若い人にも良さを知ってもらえたらいいな~
「検見川商工振興会」商店街・上町
「房総往還」の街道沿いに現在は「検見川商工振興会」として商店街が形成されている。千葉県千葉市花見川区検見川町1丁目。
最寄り駅は京成千葉線「検見川駅」。駅の南側に東西に伸びる商店街だ。
商店街は車通りも少なく、旧道という雰囲気。商店街を歩く前から、奥につづく商店のシルエットが見えて歩くのが楽しくなってきた。
この辺りは「上町」。
工具店「マツヤ」
遠くから見えた「マツヤ」の文字。長く地元の方に愛されている工具店。
日曜日は定休日のお店が多いみたいで、残念。今度は違う曜日に訪れよう。
昭和5年の鳥瞰図では「松屋本店」とあるので支店もあったのかな?
旅館?
隣にある平屋の建物が気になる。10年前のストリートビューを見てもわからなかった。
なんとなく食堂とか旅館とかで利用されていたのではと思ってしまう。考えすぎかな~
ここで鳥瞰図の出番!
昭和5年の鳥瞰図では…
松屋本店の隣に「旅館上総」とある!これは旅館だったんだ!建替えられているのか、業種が変わったのかわからないが、今も風情のある建物が残っていて嬉しい。予想が当たって大喜び!
大塚薬局
旅館の隣は、青いタイルが綺麗な建物。
独特なデザインだなと感心していたら、右端にファミリープランがあるので薬局と判明。助かる。
鳥瞰図でも同じ場所に薬局。右隣に煎餅屋があったが今は無い。
市川精肉店
市川精肉店は、熱々のメンチカツが大人気のお店だそうだ。気になる~
昔は海苔の養殖を営んでいたと、「千葉市観光ガイド」に紹介されている。
向かい側で見つけた消火栓のホーロー看板。小さいタイプだった。
シャッターが閉まっているけれど、2011年のストリートビューではファンシーショップ「アップル」というお店だった。
隣には呉服店「くらたや」。外観が新しかったが、改装したとみられる。
秋元久三郎商店・半七酒店
呉服店の隣、ビタワンの看板が目印の商店。
半七酒店と並ぶ風景が良い。
検見川サービス店会ってなんだろう?商店街のことかな?
建替えが進んでいて、ビルになっているところもある。
角にある総タイルの外観。これもおしゃれだけど、どんなお店だったのかな~
銭湯「梅の湯」
商店街はまだつづくが、銭湯「梅の湯」の看板が右を指しているのでちょっと寄り道。
住宅街の中に?とちょっと不安になるくらい細い道を抜けていく。
梅の湯の煙突が見えてきた。
住宅街に銭湯の良い匂いが漂っている~
創業100年を超える老舗銭湯「梅の湯」!堂々たる外観に吸い込まれそう。
鳥瞰図の解説本によると、
土地の人が海岸通りという各町内に必ず一見、湯屋がある。これも当地がすでに海水浴場、潮干狩の適地となったことと、漁師の昼夜を分かたない漁業労働のためらしい。
検見川の銭湯は、一時代前、入浴の準備が整うとホラ貝を吹き鳴らして知らせることが有名だったが、このころはすでに失われていた。
鳥瞰図では、滝の湯も確認できた。今はない。
露天風呂も?!歴史を感じる海の町で銭湯へ立ち寄ってみては?
銭湯の周辺は特にお店などはなかった。
鳥瞰図では、梅の湯の向かい側に「吹上館」という場所があった。映画館かな?と思ったら、演芸常設館だった。娯楽施設と銭湯がセットだったんだ。
房総往還に戻る途中で見つけた興真牛乳のベンチ。こういうベンチに惹かれてしまう。
房総往還・仲下町
再び房総往還へ。仲下町だが、さらに東へ進めば「新田町」と呼ばれ、街道沿いに多くのお店が並んでいた。
街道の道幅は変わらないが、今は住宅街になっている。
角にある十一屋。商店かな?
以前、八千代台でも同じような店名を見かけた気がするが、関係あるのかな…
住宅の一角に望んされている石碑。弘法大師と見えるので、四国巡礼の関係かな?
ノスタルジックな建物と裏路地
木造の立派な建物…2011年のストリートビューでも閉店していたので歴史がわからない。
昭和5年の鳥瞰図では「花島製菓店」とある。和菓子屋だったのかな~
裏路地にはコンクリートゴミ箱が。これも残っているのは珍しい。
裏路地から房総往還を眺める。この景色、令和じゃないみたい。江戸時代の漁村の景色が見えてくる。
宮間陶器
創業150年を超える老舗陶器店。佇まいも歴史を物語っている。
在庫処分半額セールだという。昭和5年の鳥瞰図でも「宮間セト物店」と載っている。
検見川商工振興会の街灯。商店街は仲町を中心とした一部分だけみたい。
片方が撤去されているのが残念。花をモチーフにした素敵な街灯!
老舗個人商店がたくさん…
「ヤマザキ」靴屋だが、鳥瞰図では「山崎下駄店」。時代に合わせて変化してきたんだな~
手作り味噌工房の「櫻井麹屋」。鳥瞰図にも「櫻井麹店」とある老舗だ。創業250年!手作り味噌教室が人気だとか。
なにげない裏路地が舗装されていないのが良い。海へと繋がる細い道がたくさんあったのだろうな~
漁村として栄えた検見川。令和の現在も街道沿いを歩いていると、海の香りが漂ってくるような気がした。
知名度が低いからか、あまり観光目的で訪れる人も少なそうだが、日曜日以外はお店も営業しているのでぜひ。
(訪問日:2021年1月)
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えっ!これは歩き?かなりの距離だけれど・・・健脚だなぁ~。でもまたマニアックだなぁ。そう、ある人から聞いたけど、明里さんが辿った道から検見川神社過ぎぐらいまでは江戸時代ぐらいから変わらないそうな(ほんとかよ!)。そこまで想像すると、古の人々がモノクロからカラーに見えてきそうな感じしない?
実は新検見川駅から歩いて、その後幕張駅まで歩きました笑
江戸時代から変わらないんですね!びっくりです。風情ある街並みが残っていて素晴らしいですね~
旅館 上総は旅館で、40年前くらいまで営業していました。工事現場の作業員など利用していたようです