千葉県最古の銭湯「松の湯」と旧市役所。勝浦の中心を探る-勝浦⑹

千葉県最古の銭湯「松の湯」と旧市役所。勝浦の中心を探る-勝浦⑹

勝浦の街中を探索するシリーズの最後は、勝浦の歴史がぎゅっと詰まった回になりそうな予感。

千葉県最古の銭湯ともいわれる「松の湯」。そしてその周辺にはかつての旧市役所があって…勝浦のかつての中心部に迫る。

墨名歩道トンネル

前回の探索の続きからで、大多喜街道を歩いていた。そういえば城下町である大多喜にも登録有形文化財の旅館があると聞いたので、いつか宿泊してみたい。

大多喜街道

大多喜街道を歩いていると、東側、勝浦市立小学校の方、奥にトンネルが見えた。

トンネルが見えた

「墨名(とな)歩道トンネル」という歩行者用のトンネルのようだ。昭和54年(1979年)につくられた。

墨名(とな)歩道トンネル

延長は195m。出口が見えない…!地元の方が良く利用しているらしく、歩行者が割と多かった。

延長は195m
電球の痕跡?

トンネルの出口は外房黒潮ラインという国道128号線に通じていた。トンネルから出た時の現実に引き戻される感じがたまらなく良い。ちなみに入り口はあともう一つあり、分岐が美しいトンネルだった。

出口

旅館勝浦館

昭和3年、松井天山が描いた鳥瞰図を見ていて気になったのが「旅館勝浦館」である。左側の大きな旅館。

昭和3年、松井天山

鳥瞰図の解説によると、勝浦の数ある旅館の代表とも言える旅館が「勝浦館」であるという。そして勝浦八景の一つである庚申山の山腹にあり、海水浴客の人気を集めるほどの見晴らしが良い旅館だった。しかし、火災にあってから再興することなく消滅。昭和43年(1968年)に行われた宅地造成のための庚申山は切り崩され、黒潮台の団地に生まれ変わったという。

先ほどのトンネルもその後につくられたものと思われる。八景の一つは生活の場になってしまった。

県道246号線

県道246号線を南下し、旅館「松の家」へ戻る方向へ。県道246号線付近で見つけた白い建物が気になった。うっすらと視力回復の圧が強い文字が見える。眼科?眼鏡屋さん?

視力回復!!

Twitterでこの建物について聞いてみると、35年ほど前、80年代に流行した視力回復センターではないかとの情報を得た。一気に店舗を拡大したとあるので、もしかしたら勝浦にもあったのかもしれない。しかし、平成4年の住宅地図では朝日新聞の営業所になっているのでその後は違う建物になっていたのかも。

その近くにある立派な木造建築は平成4年の住宅地図を見ると「滝口木材」と書かれている。一見、旅館ではないかと思ってしまうほど佇まいが素敵。

滝口木材

その奥には今井魚店。今井魚店の向かい側には昭和3年の鳥瞰図にも載っている小林写真館が最近まであったそうだが、現在は駐車場になっていた。

奥の今井魚店は営業中

夕陽に照らされた木造建築の温かい雰囲気が好きだ。

銭湯「松の湯」

そしてさらに少し歩いた路地に残る銭湯「松の湯」。千葉県最古の銭湯である。

右奥が松の湯

手前の家は新しく改築されているようだが、2階建ての木造建築が残っていた。勝浦駅からは徒歩10分ほど。以前は手前の開けた駐車場にも木造建築がたくさん建っていたため、本当に路地の奥にある銭湯だった。

松の湯

築100年以上、明治・大正時代くらいから営業しているとのこと。昭和3年の松井天山が描いた鳥瞰図も確かに載っている。2011年の写真を見ると、2階に木製の手摺がずらりと囲っていたが、現在は取り外されている模様。

千葉県最古!

現在の経営者は昭和15年に松の湯を買い取ったというので、創業したときのことはわからないらしい。

本当は正面から撮りたかったのだが、銭湯の入り口で休んでいる方がいたので横から撮影。

松の湯の看板も、以前は松の形をしていたみたい。

看板も良い

薪で水道水を沸かしており、ロッカー・体重計・脱衣かご・風呂場の蛇口・桶など昔のままだという。

窓もそのまま

松の湯

営業時間:14時30分~22時15分
定休日:木曜日
大人:410円
子供:170円
0歳~6歳:70円
駐車場:4台

千葉県最古の銭湯はいつまで残っているだろうか…

張り紙

延命地蔵堂

さらに進むと、県道246号線が勝浦漁港の方へ曲がる交差点にあたる。

交差点

美容室の隣にある小さなお堂のような建物が気になり近寄ってみた。「延命地蔵堂」だという。

延命地蔵堂

石積みの美しいお堂は、あまり見たことが無い。

アーチが美しいな

佐野歯科医院

延命地蔵堂の正面にも古そうな門柱が残っていた。

古そうな門柱

門柱の素材が砂っぽくて見るからに古そう。調べてみたら昭和3年の鳥瞰図にも載っていた。

表札が残る

佐野歯科医院とある表札も、よく見ると醫院と旧字体が残っていた。

佐野歯科醫院

奥に佐野歯科医院の建物があるはずだが、現在は新しくなっているのか古そうな雰囲気は無い。

佐野歯科医院への道

奥へ続くイチョウの木と思われる太い幹が、この場所の歴史を物語っていた。

勝浦市図書館

佐野歯科医院のお隣は勝浦市図書館。歴史探索には欠かせない図書館だが、閉館時間だったため入館できず。

勝浦市図書館

勝浦市図書館、色々と変遷を重ねてきている場所だ。昭和3年の鳥瞰図の右側、勝浦病院、佐野歯科医院が載っている。

昭和3年、松井天山

昭和3年の鳥瞰図を見ると勝浦病院大正元年(1912年)に勝浦尋常高等小学校墨名の高台に移転した際に、その建物をそのまま使用したという。

勝浦尋常高等小学校の建物は明治28年2勝ちに落成した2階建ての校舎であり、とても目立つ立派な建物だった。生徒数の増加により大正元年に移転した。

勝浦病院の後は勝浦市役所庁舎に。そして現在の勝浦図書館になている。そのため、旅館松の家のある通りは旧市役所通りの名称が残っており、かつて勝浦の中心部であったことがわかる。

 

 

(訪問日:2020年8月)