勝山遊園地&竜宮城水族館跡地|安房勝山駅からかつての”海の総合レジャーランド” -勝山⑶
鋸南町勝山を散策。JR安房勝山駅から徒歩10分ほど歩いた大黒山展望台周辺には、かつて老舗旅館や遊園地「勝山遊園地」が存在したのです!今回はそのマニアックな歴史をまとめます。
安房勝山駅~旧旅館跡地
千葉県安房郡鋸南町勝山。JR内房線「安房勝山駅」から西へ、佐久間川沿いを大黒山方面へ歩く。
1年ほど前に降りたことがあり、あらかた周辺は探索したことがある。「安房勝山駅」明治製菓の工場・勝山ヘルスセンター・特攻隊の格納庫など -勝山⑴
しかし、その際は見逃していた旅館跡や遊園地跡を探しに、今回は母と探索した。残暑が厳しい9月。
佐久間川と大黒山。頂上に見えるのが、天守閣風な展望台でこれから登るところ。標高75m程だが遠くから見ると意外と高くてドキドキ…
国道127号線沿いの武内クリニックには数年前まで古い病院?の建物が残っていたけど取り壊されていた。
勝山クリニック手前に大黒山の案内があり、佐久間川沿いを西へ進む。
この先にかつて遊園地があったとは思えないくらい閑静な住宅街が続く。土産店とか商店があったのかと勝手に思っていたが…2014年頃は商店跡らしき建物もいくつか残っていた。
そして突き当たり、左に伸びる細い道が大黒山階段へ続いている。今回は1周してから登る予定。
突き当たりを右へ、大黒山展望台の駐車場も右手に見えてくる。
そして駐車場の反対側、左手に広大な空き地があるがそのあたりが旅館跡地?
旧稲松旅館(鋸南町勝山)
その名も「稲松旅館」。覚えている方いらっしゃいますでしょうか?もしいたら教えてください。
昭和30年代頃の稲松旅館のパンフレットを発見したので、旅館の基本情報は判明した。
パンフレットから一部抜粋↓
・浮島
夢の浮島と呼ばれる美しい島です・大黒山
海辺から直接そびえたつ勝山の展望台。~登山エレベーターを運転・名物
牛乳・枇杷羊かん・貝細工・さざえ・あわび・夏みかんなど
現在も写真スポットとして有名な浮島、泳いで渡ることも出来たそう…
大黒山のエレベーターが気になる!今もあったら良いのになあ。
稲松旅館の本館は破風造り屋根で立派な木造建築。また、海水プールが目の前にある別館も存在したようだ。
稲松旅館については戦前、絵葉書も発行されているのでまた入手出来たら紹介したい。
土産店跡 こづちやなど
現在は、近くに民宿「おしなや」が営業中。
スナック跡?やホテル跡のような建物が一部残っていることからも栄えていた様子が窺える。
右手にある橋を渡ると竜島海岸、民宿や旅館も営業中。
大黒山周辺は現在は静かだ。
左手には、お土産店が並ぶ。花火や虫取り網といった夏のレジャーグッズが販売されている様子。
真ん中の「こづちや」の右隣にも「おみやげショップ カワナ」があったが最近取り壊しに。
2014年のストリートビューを見ると、さらに並びにレトロなゲームセンター「カワナ」の建物が写っている!
手作り感満載の小さなゲームセンター。観光地によくスマートボールの店舗があったりするが、その名残だろうか。この通りの全盛期を見てみたい。
「ジューシー」ジュースのラベルシールだろうか、窓に残っていた。このブランドは初めて見たなあ…ご存知の方いますでしょうか?
勝山遊園地&竜宮城水族館跡地の歴史
勝山が栄えていた理由に、この大黒山の傍に遊園地が存在したことが大きいと考えられる。「安房勝山 遊園地」などと調べると情報が出てくる上に現地に説明看板も立っている。
かつて千葉県に存在した遊園地跡をまとめたことがあり、現地を訪問したいと思って今回訪ねたのだった。【遊園地】千葉県にかつて存在した、今は無き遊園地一覧
大黒山の北側にかつての遊園地跡があるという。今までの雰囲気的に老舗旅館と土産物店、門前の面影は感じることが出来た。
大黒山近辺に存在した遊園地は、
「勝山遊園地」といい、大黒山側には「安房勝山竜宮城水族館」が存在した。
その様子は、千葉の県立博物館サイトにも紹介されている。観光パンフレット「房州 勝山」も載っているので比較すると楽しい。
海の総合レジャーランド 安房勝山
昭和28 年(1953) 頃、勝山町(鋸南町) の大黒山のふもとにさまざまな遊具を備えた勝山遊園地が作られました。付近には海水浴場、水族館、真珠島などの観光施設、大浴場のヘルスセンター、頼朝荘といった宿泊施設が設けられました。
桟橋には、東京や神奈川からの船が発着し、多くの観光客で賑わいました。
確かにパンフレットには名物として枇杷・牛乳が描かれている…
安房勝山駅から、大黒山に至る一帯がレジャースポットになっており「勝山公園」のゲートから、「動物園」「木馬館」「飛行塔」「スポーツランド」「展望車」 「登山エレベーター」「水族館」「プール」「ボートヨット」「先住民遺跡」「頼朝荘」「パールアイランド」…
ツッコミ所が沢山ありすぎるのですが、見ているだけでワクワクします。
勝山遊園地は、昭和10年頃に後の鋸南町長となった平田未喜三氏により浮島の開発から始まり、昭和28年(1953)に東海汽船(株)が共同ヘルスセンター「頼朝荘」や勝山遊園地、安房勝山竜宮城水族館を開設、一大観光拠点としたという。昭和30年代には賑わいを見せたが、1960年代頃に客足の減少と維持費用がかかるため閉園に。現在遺構は残っていない。「頼朝荘」に関しては平成初めころまで建物が活用されていたらしいが現在はマンションが建っている。
森永製菓も出資していたらしく飛行塔には「森永チョコレート」の文字が。
2011年に詳しく現地取材されている方の記事が参考になる。当時使用されていた水槽等も見学しているようだ。→つわものたちの残影を探して…【第1章】
また、当時のパンフレット等写真が掲載されているjinomonta064さんの記事も参考になります。→昭和な安房勝山自然公園
勝山竜宮城水族館の現在
そして現在は!
ネットが張っているこの辺りがかつての水族館跡らしい。左手に写る建物は当時、水槽で魚の展示があり建物や備品は現在も使われている。というのも国指定公園の為、再活用するしかないのだとか…
近くには「竜宮城水族館跡」の看板も。
大黒山の洞窟を利用し、竜宮城のような赤い門を入口に構えた水族館。その洞窟自体も古墳時代後期の遺跡というのがまた面白い。
追記:ウミガメの展示を幼い頃に見た記憶がある方も。
現在は私有地の為外から静かに見学しました。
大黒山を1周。
竜ケ崎堤防方面がフェリー乗り場だったようで、その当時の土産店の建物はかろうじて残っているらしい。
パールアイランド(真珠島)は私有地の為現在立ち入り禁止に。
名前を聞くだけでワクワクするようなレジャーランドが勝山に確かに存在したこと、その歴史を伝えていきたい。
(訪問日:2022年9月)
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私もエレベーターの跡を探したことが有りますが、昔の絵と地元の人に聞いた話から判断すると、スナック跡とホテル跡がある、山の北側の土地が凹んでる所らしいですよ。大黒山に登ったら分かるかと思いましたが、跡形もなかったですね。
鴨川に行った時に地元の年配の方と話す機会があったので勝山遊園地について御存知かなと思って聞いてみたら、南房総の子供が行く遠足の定番の地だったそうです。千葉市の子供なら谷津遊園みたいなもんですね。
閉園した年代から推測すると、砲台山ハイランドは勝山遊園地の後釜を狙ったのかな?
砲台山ハイランドは動いてるリフトが国道127号線から見える目立つ存在でした。