曾呂尋常小学校分教場跡|鴨川市西.城西大学創立者の出身校の廃校後の記録
鴨川市にある曽呂尋常小学校分教場跡へ。現在は廃校となり、廃墟化している木造の校舎です。
この建物を見たく、鴨川駅からバスに乗って訪問しました。
※現在は敷地内立ち入り禁止のようです
門前屋商店(鴨川市)
前回からの続きで、旧水田家住宅を見学後、県道89号を東へ歩く。
右手に分校の建物が見えてきた。
そして左手には古い商店。
門前屋という名前が良い…!分校の隣に西神社があるがその神社の門前という意味だろうか?現在は営業している雰囲気がなかったが佇まいに惹かれる。
右手には廃校、左手には民家が高台に。
曽呂尋常小学校分教場の歴史
千葉県鴨川市西747「曽呂尋常小学校分教場跡」
県道沿いに曾呂尋常小学校分教場跡の看板が立っているのでその案内通りに西神社の隣に廃校がある。
今回の旅最大の目的地である曾呂尋常小学校分教場跡!大雨の日に廃校見学というのも乙です。
敷地内に入ってすぐ左手に記念碑、曾呂尋常小学校分教場跡についての歴史がまとめられています。
曽呂尋常小学校分教場 記念碑
村の中央までは程遠いので、低学年の児童は本校に通うことができず、四年生までは分教場で授業を受けることになっていた。一年から四年までの四十人に満たない児童が一つの教室で一人の先生に教わったのだから、なつかしい想い出は多い。
(水田三喜男自伝『蕗のとう』より)水田三喜男がこの分教場に通ったのは、明治末から大正初めにかけてである。本校(曽呂尋常小学校)までは六キロもあるので、周辺の子どもたちはこの分教場へ通学したのであった。この分教場は、一八七四年(明治七年)、全国的に見てもきわめて早い時期に、この地域で開校した四つの小学校の一つで、一九六七年(昭和四十二年)の廃校まで、九十年の長きにわたって郷土の多くの人々を育んだ。
水田三喜男の父信太郎は、一九〇九年(明治四十二年)曽呂村の村長として、三つの小学校(上尋常小学校、宮尋常小学校、西尋常小学校)を曽呂尋常小学校に一本化することに尽力し、県下の各町村に先がけて近代的校舎を建設、人々の信頼を得た。この時、本校は上に、分教場は西に置かれた。
曽呂の地が生み、終世この地を愛してやまなかった水田三喜男(1905年~1967年)は、昭和四十二年(1946年)戦後初の総選挙に自由党から立候補して初当選、以来三十年間、連続当選十三回、戦後日本の復興に心血を注いだ。七度にわたる大蔵大臣として、国民生活の安定と日本経済の高度成長のために働く一方、義務教育費の国庫負担、私学助成など、日本の教育の再生、振興に力を尽くした。
一九六五年(昭和四十年)、国と社会に有益な人材育成のため、学校法人城西大学を設立、政治家としての責務を果たす傍ら「学問による人間形成」を建学の理念として、大学の初代理事長および学長の任に当たった。1967年(昭和五十一年)、七十一歳の若さで急逝した。
この地に生まれ、この分教場で学んで大きく成長した人間水田三喜男の遺徳を偲び、郷土の人々との変わることのない心の交流を祈念して、この碑を建立する。
二〇〇八年(平成二十年)一月
学校法人城西大学理事長
城西国際大学学長 水田宗子
曾呂尋常小学校分教場は、明治7年の開校。昭和42年に廃校に。
村の中央にある曽呂小学校までは地図上で約4㎞。小学4年生まではこの分教場に通っていたという。
その中の一人が、城西大学の創設者・水田三喜男。戦後の日本を代表する政治家です。
前回の記事、旧水田家住宅は彼の生家で、どちらの建物も城西大学が管理しているようです。感謝… 平成21年に分教場の再生保存を願う有志から要望書が提出され、鴨川市としては貴重な教育における歴史的財産として後世に残す必要があると判断している(https://www.city.kamogawa.lg.jp/uploaded/attachment/1869.pdf)。
千葉県内の廃校のなかでも知名度が高く、検索すると訪問記が多く出てくる。一方で、自然災害の影響もあってか、建物の痛みが酷く、今後の行く末が気になる建物です。
曾呂尋常小学校分教場跡 現在
それでは、曾呂尋常小学校分教場跡を見学。
まず見えた手前の木造建築は、昔の便所小屋とのこと。
後で調べたら、小屋の中には木製の便所の跡も残っていたらしい。大雨で覗けなかった。
その隣に木造校舎。裏手は足場が悪くて行けませんでした。
校舎の中は床が抜けていて見学不可能。立ち入れる一部の場所でしばらくの間雨宿りをした。
木造校舎の正面にあった昇降口は、屋根部分がすべて崩壊…楽しみにしていたので少し残念。
舞台がある畳座敷。講堂的な場所として使われていたのかな。
校舎は2つ。先に見た校舎の方が古そう。ピンク色の外観のほうは丸い照明も残っていて可愛い。まだ崩壊していない。
校庭には様々な植物があり、今回は紅葉が色づいていて綺麗だった。
土砂降りの大雨の中、良い写真を撮ろうと頑張ったのでいくつか載せさせてください…
見学を終えて、保存状態が良くないのが心配なところ…
現に立ち入り禁止になってしまったみたいだし、気になる建物は早めの訪問が吉ですね。
西神社(鴨川市)
曾呂尋常小学校分教場跡のすぐ隣にある西神社。旧西野尻村の村社。
銀杏で黄色く染まった参道。石段と鳥居、隣には廃校、良い雰囲気です。
拝殿の左側にある大杉は鴨川市天然記念物に指定されている。
曾呂尋常小学校分教場跡を後にし、次は曽呂の中心部へ。
(訪問日:2022年10月)
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