「市川市東山魁夷記念館」国民的日本画家が過ごした市川市中山ゆかりの人物
市川市にある「市川市東山魁夷記念館」へ。
日本を代表する画家である、東山魁夷。彼は生涯の大半を市川市で過ごしたという。記念館は西洋風な八角型の塔が印象的。市川市の歴史を調べているうちに、足を運んでおかなければ…!と思ったので今回行ってきました。
※令和4年12月末まで改修のため休館中
市川市東山魁夷記念館
千葉県市川市中山1丁目16−2 市川市東山魁夷記念館。最寄り駅は、JR下総中山駅から徒歩20分ほど。バスもある。
HP:http://www.city.ichikawa.lg.jp/higashiyama/
市川市にいながらヨーロッパ気分が味わる、そんな素敵な佇まいの記念館。
ホームページを見ると、「東山魁夷の人間形成、東山芸術の方向性の両面に影響を与えた留学の地、 ドイツに 想をえた八角形の塔のある西洋風の外観」と紹介されている。
記念館の入場料は、一般520円。市川市文学ミュージアムとの観覧料の相互割引も行っている。
また、和装で入館すると観覧料が団体割引になるそうだ。「着物姿で、優美な日本画の世界をお楽しみください。」、粋なサービスですね~
1階の展示室には、東山魁夷の人生を追体験できる展示コーナー。遺品、書籍等の資料が展示されている。2階には日本画をはじめ、スケッチ、リトグラフ等、東山魁夷の作品が展示。
ショップやカフェレストランも営業中。
東山魁夷と市川市の繋がりについて、私が初めて知ったのは市川市鬼越にある「中村家住宅」を調べている時だった。→「中村家住宅煉瓦蔵」千葉街道鬼越の名家の住宅!必見! -市川⑺
国道14号沿いにある国登録有形文化財の邸宅。
実は、こちらの中村家に住んでいたことがあるという。
昭和21年(1946)年、味噌醸造業を営んでいた中村家の工場の事務所2階に間借り。昭和28年に新居を建てるまで暮らしていたのだろう。現在もその工場は残っており、彼が工場の窓から市川の風景を描いたという作品を見たことがある。市川は名だたる著名人が多く暮らした文化的な街。その歴史を今後も発信していきたい。
中山法華経寺で見かけた井戸
記念館へは、中山法華経寺の参道を歩いて向かった。その際に見かけた気になるものを合わせて紹介しておきたい。
法華経寺山門沿いを歩いていたら、路地の奥に井戸を発見。その手前の建物は、2022年秋現在取り壊されて駐車場になっているので井戸も無くなっている。
昔は井戸端会議もにぎやかだったのだろうか…
”特製 日本式”と刻まれている。
手前の建物も全体を撮影しておけばよかった。看板建築ではないか!
(訪問日:2022年2月)
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市川市というのは、実に奇妙な市で、古くからいわゆる文化人も多いのに、そういう人たちを一貫して“冷遇”して来ました。
こんなことをする自治体、全国でも珍しいと思います。
そのうちの一人が、東山魁夷さんでしょう。
明里さんが「国民的画家」と書く通り、東山魁夷さんはよく知られた日本画家です。東山さん自身、市川市には愛着もあるようで、あるインタヴューでは「わたしの作品のほとんどが『市川の水』で描かれている」と、市川市へのリップサービスもされていました。
東山さんは、市川市への作品寄贈も考えていたそうです(それは当然でしょう)。
にもかかわらず、市川市はそれをせず(=芸術に対する無理解)、結局、作品の多くは長野県信濃美術館が保管・公開しています。
せっかく東山さんが寄贈の意思を示しているのに、それを足蹴にした市川市…。そして、東山さんが亡くなってから、明里さんが今回レポートして下さった建物を建てています…。
この建物…、笑ってしまうのですが、「東山魁夷美術館」ではないのです…「東山魁夷記念館」。
なぜなら、ろくな作品が無く、展示してある“作品”も真筆ではなく、カラーコピーしたもの(=「レプリカ」と小さく書いてあります)だから。
そういう施設なので、まかりまちがっても「美術館」とは呼べないのです…、だから…「記念館」(涙)。オープン当初に入っていた有名なレストランも採算が取れないからでしょう、もうかなり以前に“撤退”しています…。なんだか、日本の「エセ文化施設」の典型みたいな建物です、この“記念館”は。(明里さんがせっかくレポートして下さっているのにスミマセン…)
でも、もし「記念館」まで来る機会があったら、記念館に隣接した場所にある東山魁夷さんのご自宅を見ておいてよいのではないでしょうか。以前は、東山魁夷さんの奥様が住んでいらっしゃいましたが、2016年に奥様が亡くなられて…、わたしも最近は行っていないので、東山さんの住まいが今どうなっているのか、わかりません。本当は、東山魁夷さんのご自宅だってとっても貴重なのですから、市が買い取って、アトリエ等を一般公開すれば(作品の寄贈を受けなかった過去の償いも出来て)いいと思うのですが…。
しかも、東山さんのご自宅と「記念館」は、ほとんど「地続き」ですから、ご自宅を市で管理・保存・公開すれば、あの一帯がとても活気づくし、東山魁夷さんのアトリエ兼自宅は、文化財としても、とても価値があります。
ご自宅が取り壊されて更地にされないことを切に祈ります!!!