太海の路地巡り。つげ義春の「ねじ式」の舞台になった漁村・近代建築 -太海⑵

つげ義春の「ねじ式」の舞台ともなった漁村、太海。つげ義春の代表作の聖地巡礼のため、房総を巡ってみようと思う方も多いのではないでしょうか。
ひなびた漁村の原風景がここに…
つげ義春と太海の路地
千葉県鴨川市太海浜144。JR内房線「太海駅」で下車し、太海港へ徒歩15分ほど。
老舗旅館「江澤館」のすぐ南側の通りに面した場所に、つげ義春の舞台となった路地がある。一応看板がある&一本道なのですぐに見つかるはず。意外とあっけなく、憧れの場所が目の前に現れたので驚いた。

つげ義春の作品の中でも特に有名で、代表作ともいわれている『ねじ式』。彼が太海を旅行した経験が元になっているという。
太海の路地は、機関車が民家の間から飛び出すシーンで登場する。実際は路地というか、階段をのぼるとすぐ目の前に民家の玄関があるので、機関車が飛び出す余裕もない。凡人には考えられない想像力を目の当たりにした。

検索すると太海を聖地巡礼している方が多いこと…!いずれ千葉県内のつげ義春・聖地巡礼記事でもまとめようかな。また漫画を読み返したくなった。
太海の路地・神社
それ以外にも太海は路地好きにはたまらない、迷路のような路地が人気だ。旅館で見た観光マップを片手に歩いてみる。→太海探検マップ

今回歩いたのは、宿泊した江澤館の周辺。民家の玄関の目の前を通る、細い道が続いている。

高低差がある坂道につづく階段。
斜面に立つ建物と階段からは、広島の尾道に少し似ているかも、なんて思ったり。静かで素朴で、房総の漁村の街並みも好きだ。


さらに、海に面した細長い岩と、鳥居が気になった。

こちらは、グーグルマップを見ると「龍宮様」とある。ネットで調べても特に由来が無いが…どういう由来なのだろう。

岩に上ると青く澄んだ海が綺麗だった。祠の向いには先ほど見えた尖った岩があったが、これらは自然の力でつくられたものなのか、それとも人の手によるものか。
近代建築?石造りの掲示板
また、太海で個人的に最も気になるのがこちらの建造物。江澤館のすぐ南側、角に壁に埋まったコンクリート造りの何かである。

津嶋神社の右手にある。消防信号の看板とともに残る、時計台のような、何かの痕跡。
石の雰囲気から昭和初期頃のものではないかと思うが…ネット上に情報が無く気になる。

土台部分に、四つの文字と右手の小さい文字の跡が見える。うっすらと見える字から、青年団?

地元の方に聞くと、「掲示板だった」と回答があった。さらに上に火の見やぐらもあったとか?
上の四角い箇所に時計があり、真ん中の四角が掲示板だったのだろうか。


急な石段の上にある津嶋神社。江澤館や仁右衛門島が見渡せる。

また、古い建物が好きならばと地元の方におススメされたのが、江澤館の裏手にある灯台跡。

こちらも調べても情報が無いが、民家の間の路地を通ってたどり着く。教えてもらえなかったら知りえなかった場所だろう。
現在は使われていない…右手には事務所?送電所?建物がある。

鴨川、和田浦までテラスことができる。網を照らすための光を届けていた灯台だったとか。
灯台跡からさらに山を1周できそうな道がある雰囲気だったが、足場が危険だったのでこれ以上はやめた。
道脇には稲荷大明神。

今回は漁港周辺だったので、北側の太海の路地も歩いてみたい。
(訪問日:2022年1月)
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「太海」…いいですよね…。
太海には共同浴場みたいなところは無いのですか(笑)。
冗談はさておき、「消防団」関係のレポート、興味深く読みました。というのも、太海って、あれだけ路地が入り組んでますから、火事が起きても消防車は入れないわけですよね…、だから、何かあっても自分たち(地域住人&消防団)で消火などをするしか無かったのではないでしょうか。
そう考えると、「消防信号」の写真、とっても興味深かったです。
なるほど!消防車の視点興味深いです。自衛の精神が根付いていたのでしょうか