館山の”崖観音”「大福寺」へ。門前町に栄えた映画館、赤線の歴史 

館山の”崖観音”「大福寺」へ。門前町に栄えた映画館、赤線の歴史 

今回は、大福寺(崖観音)へ!那古船形駅からの探索最後の記事となります。

古くからの漁村である船形の地域ですが、以前紹介した門前町の那古に負けじ劣らず映画館が存在したようです。

船形の商店街

千葉県館山市船形。前回の記事の続きで、船形の商店街を歩いている。
小林病院の近くの交差点付近。左手は青果店の「本間商店」と「はたや呉服店」の駐車場。

船形の商店街

本間商店以外は閉店している様子。

閉まっている

右手には「はたや呉服店」と書かれた建物。店舗は南側にあったので、こちらは倉庫かな?

はたや呉服店?

左手、墓地のある芝堂とその隣は鮮魚店「新し屋」。仕出し・お土産も扱っているようだ。丸に十一のマークが中央に描かれている。

新し屋

そしてしばらく進むと、冨浦方面へ向かう道と分岐に。今回の目的地である、崖観音は右の細い道を入っていく。看板も出ているので迷うことはないだろう。

分岐へ

分岐のところにも商店が存在。現在は閉まっているが、郵便のステッカーやたばこ、塩のホーロー看板が見えることから、この地域のコンビニ的な場所だったのだと思う。

郵便、たばこ、塩

店内はさほど広く無さそうだが、切手・はがき・印紙を買う事ができたら有難いだろう。塩のホーロー看板も旧字体の縦型のタイプで歴史を感じる。

塩のホーロー看板も

このお店の向かいには、右から豆腐店、商店などが並んでいたそうだ。(昭和47年の住宅地図)
昭和35年の住宅地図では、下の写真の建物は「白井米店」。

白井米店
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船形観音の門前、映画館

大福寺の崖観音は「船形観音」とも呼ばれる。海に面した絶壁の赤塗りの建物は遠くから見ても圧倒的な存在感を放つ。
船形のシンボルとして昔から厚い信仰を集めており、現在も観光地として有名な場所。となると、私は門前町の昔に注目したくなる。

那古寺の門前は、文豪にも人気な山田旅館など、房州一の賑わいだったという伝えがあるが、ここ船形の門前はどのような様子だったのだろう?

船形観音と門前

先ほどの交差点から北へ、まずは先入観無く崖観音へ通じる道を歩いてみる。しかし、現在は閑静な住宅街で観光客向けのお店なども無くとても静か。

一軒だけ元飲食店であろう平屋の建物があったが、それが唯一の名残かな…

元飲食店の建物

崖観音の参道がまずどこだかよく分からず、ここには門前の賑わいは無かったのかとモヤモヤする探索となった。

帰宅後、昭和35年の住宅地図を見てみると、この裏通りが繁華街だったことが判明。那古ほどではないが、ここにも映画館があったのだ。

先ほどの元飲食店は料理店で、その近くにはバー「ベンケイ」。そして向かいの現在駐車場の場所辺りに「船形映画館」が存在したらしい。

しかし、昭和47年の住宅地図では載っていないので、昭和40年代には廃業してしまったのだろうか。だからか、「消えた映画館の記憶」さんのページにも船形映画館が載っていない。

那古寺の門前にあった「船形クラブ」の方が人気があったのだろうか…船形映画館が無くなるとともに料理店やバーも姿を消し、住宅街となっている。

地元の方の情報によると「昔は赤線があって賑わっていた」という情報があるが、大々的な赤線ではないにしろ密かにそういうお店が存在したのかもしれない。また何かわかったら追記します。

 

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大福寺(崖観音)と諏訪神社へ

千葉県館山市船形835。JR那古船形駅から歩いて15分ほど。堂山(107.5m)中腹の崖に建つ、船形山大福寺(崖観音)へ。

先ほどの門前からではなく、西側の諏訪神社側から大福寺へ向かうことにした。

西側にある諏訪神社

しかし、封鎖されていて参拝することが出来ず…私は知らなかったのですが、2017年に放火され、本殿と拝殿の敬100平方メートルが全焼してしまったそうだ。

立ち入り禁止に

2022年現在も立ち入り禁止。建設予定があるそうだが、そんなひどいことをする人がいるものなのかと衝撃を受けた。崖観音は無事で良かったな…

中腹に建つ崖観音

崖観音と呼ばれるこのお寺は、「普門院船形山大福寺」。観音堂の本尊は、十一面観世音菩薩で船形山の崖の中腹にある祠に刻まれているそうだ。
ホームページに詳しく縁起や磨崖仏十一面観音について説明がある。

崖観音の説明看板

本尊は、717年に行基が、地元漁民の海上安全と豊漁を祈願して、十一面観世音菩薩を彫刻したと言われている。現存の御堂は大正14年、本堂は昭和元年に建立されたもの。戦前から変わらずに崖の上に建っていると考えると凄いな…

日露戦争記念碑

崖観音へ通じる階段がこちら。8時~16時30分まで開門している。

崖観音へ

京都の清水寺のミニバージョンのようだなと思った。千葉県でもこういう場所があるということを、ブログを始めてから知ったが、もっと多くの方に知って頂きたい。身近にも良い場所がたくさんあるよって。

下から眺める
お不動さま

階段からの眺め。館山湾と船形の町を一望できる。那古船形駅は、徒歩圏内に二カ所も絶景のお寺があり、昔から観光地として賑わってきたことに納得…

船形を一望
明治28年
大きな穴は何だろう?

海を見渡せる手水もなかなか珍しいのでは?

手水

隣にあった石碑には「富町魚商組合連中」と刻まれている。

魚商組合連中

いよいよ、観音堂へ。階段数も思ったよりも多くなく、家族連れでも楽しめそうだなと感じました。

この日は閉まっていて見えなかったが、観音堂内の天井画が南房総の植物を中心に描かれていて美しいとのこと。一度見てみたいな~

館山湾

皆さんも、那古船形へぜひ遊びに行ってみて下さい~

(訪問日:2021年9月)

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