「日の出会商店街」かつての”吉原大門通り日の出会”。吉原とも関係がある商店街
東京都台東区日本堤1丁目。かつて労働者の街山谷として知られたこの辺りの現在の姿を調べていたら、近くに銭湯が見えたので近寄ってみた。
すると、「日の出会商店街」なる吉原遊廓との関係性もある古い商店街と出会ったのだった。
天然温泉湯どんぶり栄湯
日本堤1丁目の住宅街の中、「天然温泉」の看板が遠くからでもよく見える。そして奥にはスカイツリー。
「天然温泉湯どんぶり栄湯」(ホームページ)
ホームページを見ると、外国語にも対応していてわかりやすいデザインになっている。10月まで改装工事をしていたが、10月から再開とのこと。私が訪れた時は工事中のようだ。
コインランドリーも併設。
栄湯の手描き銭湯MAPイラストがとてもかわいい。露天風呂もついていて、かなり広々として印象を持つ。
こだわりポイントは3つ。
すべてのお風呂が超軟水!
昭和54年から太陽光でお湯を沸かしているエコな銭湯!
まるでスパのような清潔な店内!
口コミを見てもかなり高評価。
リニューアルによって、炭酸泉やマイクロバブルの水風呂などが充実し、さらに楽しめそうだ。
裏には駐車場があり、大きな煙突もとてもよく見える。
交差点から見た銭湯の煙突。最寄り駅は南千住駅、三ノ輪駅から徒歩10分ほど。
元吉出世稲荷
栄湯の入り口の向かい側の建物の間に、小さな鳥居が見えたので近づいてみた。
「元吉出世稲荷大明神」とのこと。赤い旗が出ているのですぐわかった。
元吉出世稲荷大明神は浅草元吉町の旧地名から取った名称であり、江戸時代に創建された。関東大震災で被災、大空襲で焼失するものの、現在残っているものは庄あ30年に有志によって再建された。
元吉出世稲荷大明神の歴史が石碑に刻まれている。
「日の出会商店街」の歴史
今回のメイン!「日の出会商店街」の歴史を見てみよう。日の出会商店街は、旧吉原大門からアサヒ商店街に至る、東浅草2丁目、日本堤1丁目の延長350mの商店街である。
そして、吉原遊廓との関係性も深い。
台東区商店街連合会のホームページによると、
関東大震災後「吉原大門通り日の出会」として誕生。吉原との関係が深く、桜鍋・鮨屋そして床屋などが並んだ。
戦後の昭和23年に「吉原大門通り日の出会」として再発足したものの、33年の吉原遊廓の廃止で大打撃を受けた。
平成元年に至り、<街を明るく美しく>のサンアップ計画をたて、カラー舗装化、花壇新設・植栽、街路灯・シンボル灯新設によって、浅草北部指折りの景観商店街として復活を遂げた。これを機会に、地域の歴史と文化を肌で感じさせる個性的な商店街づくりをめざしている。
まず、吉原遊廓の大門から続く商店街として、遊廓客などが商店街に集っていたのだと考えられる。前回の記事で書いたが、この辺りには桜鍋(馬肉鍋)専門店が密集していたが、現在は2店舗のみ。日の出会商店街にも多くのお店があったのだろう。
そして平成に入ってから浅草北部指折りの商店街になるまで復活を遂げたという。果たして現在の姿はどうだろうか?
現在の「日の出会商店街」
天然温泉湯どんぶり栄湯から少し広い道路へ。
うーん。日曜日に訪れたからなのか、人通りも車の通りも少ない。営業しているお店も少ないし、衰退してしまったのだろうか。街灯は残っているが、指折りとは言えないのでは…
交差点の北西側に目を向けると、錆びた茶色の建物が気になった。
純氷販売 佐藤
「氷屋純氷」を名乗れるのは、連合会が認めたお店のみで、混ざり毛のない氷をつくっているお店ということになる。
横から見ると看板建築になっているのがわかる。ここまで錆びているのが残っているのも珍しい。
とてもレトロな外観だが、この日も現役で営業しているようだった。
新しい建物に挟まれて窮屈そうな佐藤氷室。日の出会商店街の中で一番好きな建物かも。
ビジネスホテル
日の出会商店街にはかつて商店だったのだろうな、と思われるお店がポツポツと残っており、静かな建物が多い。
遠くから見ると、立派な看板建築であろう赤い建物も、現在は営業しているのか不明。
そして商店街の周辺にはビジネスホテルなども多くあり、労働者の街山谷の面影を残している。
南千住駅から探索していて、麻雀のお店が多いと感じたが、日の出会商店街にもあったようだ。
商店街を引き返す
東浅草2丁目の交差点。奥に見えるのは「アサヒ会通り」。日の出とアサヒという名称は深い意味を考えてしまう。
先ほど歩いた歩道とは反対側の道を歩いて、日の出会商店街から吉原大門の方へ。
日の出会商店街の街灯は3つの電球がついている。夜はどのように光るのか気になるな~
手焼きせんべいの「ひらの煎餅」は、シャッターが閉まっていた。ホームページも閉鎖されているようなので、現在は営業していないのかな。残念。
ファンシーショップ「青りんご」はフォントがかわいらしい。
日の出会商店街から路地を見ると、「鈴木たばこ店」の黄色い外観がよく目立っていた。
中華料理珍来も、ラーメンのイラストが昭和。
このあたりでランチと思ったのだけれど、開いているお店が少ない…
ミートショップ「千葉屋」。
青木洋紙店の隣に小さな木造2階建ての建物があった。何のお店かな?
越後屋とタイルの組み合わせが良い感じ。
越後屋豆腐店!
12月30日をもって閉店とあるので、結構最近の話なのかしら。豆腐店や肉店、生活必需品が商店街で揃っていたのだろうな~
プラモデル、鉄道模型の「ホワイトモデル」も古そう。2015年までは営業していたようだけれど…
日の出会商店街は吉原遊廓の繁栄とともに、歴史を歩んできた商店街であった。現在営業しているお店は本当に少なく、商店街としてこれからどうなってしまうのか、とても気になる。
(訪問日:2020年10月)
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