赤線「鳩の街」をぶらり散歩。鳩の街通り商店街で昭和レトロな建築巡り。-鳩の街⑴
鳩の街。それは赤線を追いかける人々にとって永遠の憧れと言っても過言ではないほど、今もなお多くの人を引き付ける魅力溢れる街である。鳩の街商店街の裏には、赤線時代のカフェー建築が残っているが、先に商店街をぶらり散歩。
90年以上の歴史を誇る鳩の街通り商店街には、看板建築を含め昭和レトロな建築がたくさん!まずはメイン通りを散歩しよう。
鳩の街通り商店街の歴史
鳩の街通り商店街の歴史についてさらっとおさらい。
鳩の街通り商店街は、昭和3年に設立された寺島商栄会が発端。今や90年近くの歴史を持つ古き昭和の商店街である。道幅が狭いのは、空襲を免れたためで、当時の区画がそのまま残る商店街は、他の場所とは違った距離感の近い商店街だ。
最盛期の昭和30年代~40年だいには約300メートルの商店街にはびっしりと商店が並んでいたそうな。しかし、都電の廃止や高齢化に伴って商店は住宅へと変わり、今では店舗数は40店舗ほどに。
今でも様々な個性的なお店が並ぶ商店街だが、空き店舗活性化に力を入れて取り組んでおり、ホームページに「空き店舗状況」など、積極的に地域を活性化しようとする試みが見られる。
赤線時代に活躍したカフェー建築は、老朽化もあり年々壊されているが、商店街から一本裏に入るとまだまだその名残を感じれる。最近まで銭湯が商店街に面して営業していたようだが、取り壊され新しい住宅に。鳩の街商店街のレトロな風景も、いつまでも見れる風景ではなかろう。今の姿をしっかりと目に留めておきたい。
鳩の街通り商店街の散歩スタート!
鳩の街通り商店街。
東武伊勢崎線曳舟駅からも徒歩約5分ほど。水戸街道に面した通りに、ピンク色のアーチがお出迎え。
平和を象徴する鳩が描かれているアーチなのだが、上部が欠けてしまっている。
アーチだけでも残っているのが奇跡なのかもしれない。これからどんな建物が待っているのだろう…
期待が膨らむ商店街の入り口。
以前の写真を見ると、鳩の街と書かれた旗が一列飾ってあったが、東京2020の旗が商店街をジャックしている。
早速、商店らしき建物。
しかし、今はシャッターが固く閉ざされているようだ。その代わりに自動販売機が2台。自動販売機は24時間稼働…時代の変化を感じる。
アパートのような集合住宅の建物。手前の窓?が塞がれているのが気になったが。
もじゃハウスか?と思いきや、
耳鼻咽喉科、内科とある。現在も現役の病院のようだ。
緑が溢れる病院は、商店街の雰囲気に馴染んでいる。
空地に似つかわぬ看板。財務省の国有地らしい。なぜ…?
アパートとして活用されている2階建ての建物。こちらも元々はスナックなどとして使われていたのではないだろうか。やけに扉の部分だけ新しい。
商店街に面しているため、赤線に関する建物ではないと思うが、鳩の街ではこうした扉と窓の数の多さには反応してしまう。
気になる2階建ての建物商店街の少し開けた場所に、青いポンプが。
防災への意識は他の地域と比べても高いのだろう。
商店街らしい店舗がやっと見えてきた。
鳩の街の見所満載!
鳩の街通り商店街で特徴的な赤い提灯。
年中無休のお祭りが行われている雰囲気が楽しい。
佃忠 向島店
はんぺん、さつま揚、おでん種…どれも美味しそうだが、日曜日は定休日のようだ。残念…
商店街では日曜日が定休日のところが多いため、商店街散歩では注意。
角に建っている建物。何かの商店だったと思われるが…
重いシャッターには、解体工事のお知らせが。しかし、令和2年2月から工事予定と書いてあるが、進んでいる様子はない。コロナの影響かな?かろうじて建物を見ることができて良かった。
マルミチキンと抜糸
薄いピンク色の看板建築が残る建物。
その看板には、「魚肉やきとり卵 マルミチキン」。
マルミチキンってなんだろう?
と思っていたら、お隣は伴糸店。伴糸店ってどんなお店?裁縫に関するお店かな?謎が深まる2軒。
でんわでんぽうがぶら下がり
「でんわでんぽう」の看板に、提灯がぶら下がっている光景が何とも下町らしくて…
今では不要になった看板ではあるが、携帯電話が普及していなかった時代を象徴する看板として、これからも残ってほしい。
たばこ屋の外観はお店によって様々。黄緑色と赤色の組み合わせが、若さを感じるデザインだと感じた。
看板建築と古民家カフェ
銅板の看板建築。
当時、銅はもっとも安価な金属板だったために普及。酸化すると「緑青(ろくしょう)」と呼ばれる青銅色の錆びが生成され、内部の腐食を防ぐ。
鳩の街商店街の中腹あたりにある銅板の看板建築も、良い具合の緑青だ。
比較的新しい建物が並んでいるように見えるが、この建物も看板建築が続いていたのではないかと思う。
こちらも青銅の看板建築。
しかし、自転車が止まっているぞ…どうやら古民家カフェとしてリノベーションされた「古民家 こぐま」らしい。
昭和2年建築の薬局を改装し、地域の人々の憩いの場として2006年から営業中。店内には、薬局時代の備品や薬も展示されていた。
優しい店員の方が、展示の細かい説明をしてくださった。ここ数年で建物もだいぶ変わってしまったらしとのこと。鳩の街商店街の移り変わりは早そうだ…
商店のオンパレード
定休日の日曜日に訪れたことを後悔するくらい、商店が並んでいる。
これだけシャッターが閉まっていると、閉業したお店との区別もつきにくい。
「和洋菓子こいずみ」の隣にある深緑色の窓が多い建物。
「柳澤」としか書かれていないが、外観からして美容室だったのではないかと思う。窓から少し覗くと、天井には美しい模様が広がっていた。この建物もリノベーションし、新しいお店が入るのだろうか。
「明治牛乳 向島販売所」
MAM(マム)のロゴが良い。牛乳の販売所が残っている商店街も珍しい。
決して派手じゃないし、取り上げられるほどでもないシンプルな看板建築が愛おしい。
化粧品は必需品?
鳩の街通り商店街の端までやってきた。
角にあるピンク色の建物が、周りの建物ちは違うオーラを放っていた。
窓には四方に飾りが残っている。
同様の飾りは玉ノ井でも見かけたが、当時にしてはかなり洒落ているのは赤線という歴史が関係しているのか。
赤松商店の「ラモナール化粧品」の看板。赤線で働いている女性にとって、化粧品は無くてはならないもの。美を追求する女性で賑わっていたのかな、と建物から思いを巡らせる。
建物は、現在はイベント会場として利用されているみたいだ。
また、赤松商店の隣の「雨宮商店」の建物もかなり見ごたえがある。
ビール、日本酒、たばこ…
酒やたばこの若者離れが進む日本では、昭和を代表する代名詞となっていくのかもしれない。
敷地は奥まで続き、蔵らしきものがある。商店街の全盛期にはかなり賑わっていたのだろう。
鳩の街商店街のメインストリート。
定休日である日曜日だったにもかかわらず、個性豊かな建物に目を奪われ、あっという間に通り過ぎてしまった。
もし、商店街の全盛期、赤線全盛期にタイムスリップすることができたら…
タイムスリップしてみたい、と強く思う温かい商店街だった。本当にこの場所に赤線が存在したのか、と疑ってしまうほどに平和な商店街。これからその歴史を紐解きます。
(訪問日:2020年7月)
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明里さんはじめまして。先週鳩の街商店街の方へ散歩しました。こちらのブログは散歩のあとから拝見したのですが、商店街の裏にも気になるスポットがあって、また訪れたいと思いました。こぐまの店員さんに伺いましたがこの10年くらいでも商店街の建物がどんどん無くなっているようで、ブログ等での記録は後にも貴重な資料になりそうですね。
また、細かい点で恐縮ですが、誤字かなと思うところがありました。
1、提灯が被さっていた看板
「でんわにっぽう」→「でんわでんぽう」と書いてあるようです。
2、商店街端の元化粧品屋さん、(今は2階が墨亭という寄席になっているそうです)文章で誤字がありました。
「角にあるピンク色の建物が、周りの建物ちは地位が鵜オーラを放っていた。」→「周りの建物とは違うオーラ」でしょうか。
また更新、新しい記事も楽しみにしております。
国有地は遺産相続の際の相続税を現金でなく不動産で物納したものではないかな。
なかさん、コメントありがとうございます!誤字が多いので助かります~これからもぜひよろしくお願いいたします!