浜松に残る飲み屋横丁の看板「味の十八番街」&看板建築「三米商店」
横丁でよく見かける看板。店名が所狭しと書かれている看板が、横丁の入り口にアーケード状に建っていたりする。大人の世界への境界線とも言うべきだろうか。横丁看板にはどこか不思議な力が宿っている気がしてならない。
浜松で偶然遭遇した看板横丁「味の十八番街」。そこもまた不思議な空間だった。
浜松の横丁看板と運命の出会い
実は、浜松には違う用事で訪れていた。
その日は、たまたま浜松城に向かって浜松駅から「アルコモール有楽街」をぶらぶらと歩いていた。豚のキャラクターがインパクト大のラーメン屋。かなり手の込んだつくりだ…
何気なく歩いている時こそ、思わぬ出会いがあったりするのだが…
と思い、ふと横を見たら、二本足で不安定に建つアーケード型の横丁看板を発見した!
「味の十八番街!!」
実は、この看板、以前にTwitterで見かけたことがあったのだが、住所がわからず放置していた物件だった。まさかこんなところで会えるとは…!運命的な出会いに興奮してしまった。
横丁看板を見つけてテンションが上がっているところを撮られた…
それにしても13個の名前がびっしりと書かれた看板は見ているだけでお腹いっぱいになるくらい魅力的だ。どの店名も個性的だが、「華勝楼」の名前に惹かれる。どんなお店なんだろう…
見てわかる通り、横丁看板の隣は既に更地になっていた。Twitterで見た時は確か建物が存在していたはずだが…。両隣の建物に挟まれて横丁らしい路地だったのだろう。
2020年、最近新たに建物が建てられたことがストリートビューから確認できる。
看板を裏から見ると、「ありがとうございました」と丁寧な挨拶が。横丁看板をくぐり抜けると、右手に何軒か居酒屋や怪しいお店が並んでいた。道幅は2メートルくらいだろうか。夜になったらまた雰囲気も変わるのだろうな…
ストリートビューでは細い路地も少しだけ探索することができる。
アーチには様々な店名が表示されているが、一体どれくらいのお店が残っているのだろうか。ちょっと切なくなった。
看板建築「三米商店」との出会い
そんなことを思いながら路地を抜けると、肴町通りにて「海産物問屋 三米商店」の看板建築に遭遇。
三階建ての建物は、両隣の新しい建物に挟まれてどこか寂しげだ。ギリシャ神殿を思わせる看板建築。
実は、2019年夏時点では「看板建築」という言葉さえ知らなかった私。でも、自分の中の琴線に引っかかったようで、この一枚だけ撮影していたのだった。まさか、数年後にこんなに役に立つとは…過去の自分に感謝している。
「ふじのくにささえるチカラ」というサイトに、建物の歴史がまとめられているので引用する。
海産物問屋を営む三米商店の建物は昭和31年の建造。災害に強く、かつモダンな銀行の建物を模したという。実際、壁は厚く頑丈で、外観もたしかに銀行のような風格がある。時代の流れで店は移転したものの、一族は隣の店舗で乾物・海産物の小売業を継続して営んでいる。
昭和31年(1956)に建てられた看板建築は、銀行の建物を模したという点が素晴らしい。昔は小さな建物にもひとつひとつ遊び心があって、今見てもワクワクする。
「三米(さんよね)商店」はホームページに歴史が書いてあるが、大正6年の創業とのこと。現在は隣の「丸喜屋商店」で営業中。
海産物問屋「三米商店」の現在
私が訪れたのは2年ほど前なので、現在の看板建築の状態が気になったのだが…
先ほどの「ふじのくにささえるチカラ」によると、「三米アトリエ」として新たなスタートを2013年から始めているという。私が訪れた時は偶然シャッターが閉まっていただけだったようだ。
機会があったら店内も見てみたい。
また、2021年4月には三米商店の建物が、「浜松地域遺産」に認定されたとのこと!三米アトリエのブログに紹介されている。「昭和30年代における肴町の商店ビルとして貴重である」点が評価。
ストリートビューにて
でも、調べてもあまりこの建物について記事を書いている人がいないので、まだあまり知名度は高くないのだろうか?個人的には文化財レベルの貴重な建物だと思うので、また見に行きたい。
近くには「出世街道」。浜松は有名なところしか立ち寄らなかったので、落ち着いたらディープな場所を巡りたいな~
(訪問日:2019年8月)
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