【千葉散策】千葉駅から蓮池通りを歩く…旅館、教会、レンガ建築、街中の建物。
今回は千葉県の中心部・千葉県千葉市を散策。実は、散策よりも重大な目的が千葉にはあって…そう。散策&歴史読解には欠かせない、昭和の住宅地図を探しに千葉県立中央図書館へ行ったのだ。貴重な資料も、申請をすることで観覧することができる。散策には欠かせない住宅地図を片手に、駅から図書館、そして花街のあった蓮池通りへと向かった。
今回の記事では、千葉県立中央図書館へ2回訪れた時の、千葉駅と本千葉駅からのルートを紹介する。
千葉駅から千葉県立中央図書館へ
JR千葉駅。かなり駅前は通勤・通学客で賑わっており、近代的な駅だ。
そんな千葉駅から、千葉中央駅へと南下し、20分程歩くと千葉県立中央図書館だ。千葉駅東口から「富士見本通り」の方へ進むと、歓楽街が見えてきた。富士見とある地名から昔は富士山でも見えたのだろうか。
年季の入った喫茶店。歓楽街の中で浮きだっている。
見るからに怪しい店名。良い子は近づいてはいけません。
人通りが少ない通りを歩いていると、好みの渋いお店がゴロゴロ出てきた。
私の母曰く、この辺りは会社の人と訪れたこともあるとか。夜になったら賑わうのかもしれない。
富士金庫店という変わったお店にも驚くが、ドラゴンとは一体…?富士は富士見通りの名前からも関係があるのかしら?
昼間には眩しい金色の看板。
富士見倶楽部と書かれた高級感溢れるビル。どんな人が住んでいるのか気になる。
千葉県庁の近くだというのに、昭和の遺産がそのまま残っているのは奇跡。空に浮いているようだ。
隣は解体真っ最中だった。時代の流れに合わせて街も変化しようとしている…
オンケンの看板には驚いた。
平成生まれの私にとっては馴染みのない名称ばかり…これって貴重なんじゃ?
知っているのは3.4個くらい…
現在も営業しているようだ。
実は、千葉駅から千葉県庁中央図書館へ徒歩で行くのは少し時間がかかるのだが、古き良き千葉を見れたのであっという間だった。
本千葉駅から千葉県立中央図書館へ
次は、本千葉駅から千葉県立中央図書館へ!こちらはまっすぐ向かうだけなので、千葉駅より近い。が、散策の見所はある。
本千葉駅近くでは、ビジネスホテル「なりた旅館」を発見。かなり気さくな女将さんで、ついつい長話をしてしまった。
なりた旅館から、千葉県警察本部の裏の通りを図書館へ向かって歩く。その途中にある「喫茶1/2ハーフ」は店名が気になる。
「クリーニング内山」の建物は、控えめだが可愛らしい。窓が木枠なのもポイント。
住宅街へと続く細い路地が気になって仕方ない。どこへ続いているのだろう。
千葉県立中央図書館
千葉県立中央図書館も、改めて見ると重厚な建築だ。実は、戦後日本を代表する建築家の1人である大髙正人の設計で建てられたモダン建築。日本を代表する近代建築の一つとしてDOCOMOMO JAPAN選定日本におけるモダン・ムーブメントの建築にも選ばれている。なるほど、この古さは歴史的価値があるものだったのか。
階段はごつごつとしており、足が突っかかりそうでヒヤヒヤした。これは高齢化社会において優しくない建築だ…
千葉城
千葉県立中央図書館は、千葉公園と併設しており、千葉城もすぐそばだ。せっかくなので千葉城へも足を運び、千葉場周辺を散策した。
千葉城に関しても、歴史を深掘りすると一つ記事が出来上がるほど面白い。史跡の一つである「お茶の水」は、伝承が数々と残されている井戸の跡。千葉城は桜の名所でもあるそうなので、春に訪れてみたい。
千葉城周辺と本町通り
千葉城と看板建築
千葉城を堪能し、都川から吾妻通りのあたりをウロウロ。千葉城の近くということもあって、古い建物が残っていそうな気がしたのである。
千葉城と看板建築のコラボレーション。これは千葉城の裏にある。旧東金街道の坂を上った先に待ち構えている知る人ぞ知る立派な看板建築。
詳しくはこちら→【千葉】看板建築と千葉城の、豪華な組み合わせを堪能する
千葉教会教会堂
「千葉教会教会堂」は、ただの教会ではない。明治28年(1895)に設計された明治の歴史的価値のある建物。ゴシック様式の建物は整備され、美しい。
千葉県指定有形文化財である。市川市にもヴォーリズ建築の素晴らしい教会建築がある。ぜひ見てほしい→ヴォーリズ建築「日本福音ルーテル市川教会」。真間川沿いを散歩
本町通り周辺
突如、駐車場に現れるレンガ造りの蔵。ある会社の蔵として使われていたようだが、放置されている。
その隣にある「安武写真館」は緑色のタイル円柱が素敵だ。
昭和30年代の住宅地図においても、「ヤスタケ写真館」が載っている。かなり老舗の写真館のようだ。
本町通りでは、鞘堂方式で銀行だった建物をそのまま保存した千葉市美術館がある。近くで見ると写真では収まらないほどの迫力があって、近代建築の良さを実感する。
地図から読み解く本町通り
本町通りに面している、レンガ造りの蔵と安武写真館。昭和30年代の住宅地図を見ると、その姿を確認できる。レンガ造りの蔵は「山半紙店倉庫」と書かれており、山半紙店の倉庫として使われていたことがわかる。
安武写真館は変わらず、同じ場所で営業を続けているようだ。
そして、レンガ造りの蔵がある駐車場で比較的新しめの地図を見つけた。そこには、本町公園の近くに旅館「青雲閣」があったことを示している。つい最近まで存在していたのだろうか、現在は新しい住宅地になっていた。
紫色がかつて存在した場所。黄色が現在の場所を表したイラスト地図↓
吾妻通り
本町通りの西側にある吾妻通り。吾妻橋から中央公園へと伸びる道路だ。ここはかつて、呉服店や料亭、旅館などの一流のお店が連なっていた。
吾妻通りを散策
レンガ造りの建物を発見。塀に囲まれて詳細は不明だが、奥の塀もレンガ造りだ。これは古そう。
そして薄いピンク色がお洒落な建物を発見。しかも木造。
入り口には、「刀剣吉野」と書かれている。アートギャラリーだというが、解放しているのだろうか。内部がとても気になる。そして隣には少し大きめのサイズの石のゴミ箱…いつも見ているサイズより大きい。
あづまばしを渡り、蓮池通りの方面へと向かう。それにしても県庁があるというのに、静かな街だ。
閉業しているようだが、「伊藤歯科医院」の建物も木造。
ここだけアーケードが残っているのも気になる。昔はアーケードがある通りだったのだろうか。吾妻通りには古い店舗の前にアーケードの残骸が見られる。
謎のスパイダーマン。
蓮池通りの近くでは、「千葉劇場」が営業中。
当時はかなりの数の映画館があったようだが、残るのはこの場所のみか…
地図から読み解く吾妻通り
吾妻通りでは一流のお店が連なっていたと言われているが、戦前からかなり賑わっていたようだ。千葉市郷土博物館蔵の写真によると、手前から「浜田畳店(後にふとん店)」「小池薬店」、その先に「和菓子広瀬直葉堂」がある。
広瀬直葉堂…どこかで聞き覚えのある店名だと思ったら、船橋の成田街道沿いにある「広瀬直船堂」の支店らしい。本店の広瀬直船堂の主人も、戦前はかなり儲かっていたと話していたが、まさか支店まで構えていたとは。その後、昭和30年代の地図を見ると千葉劇場の敷地へと大きく変化していた。
ちなみに「扇屋本店」というのは、ジャスコ、そして現在のイオンである。扇屋は1933年(昭和8年)から1976年(昭和51年)まで存在した百貨店。扇屋呉服店から法人化して、拡大を図っていった。今や全国各地に店舗を構えるイオンが、この場所で生まれたというのはとても感慨深い。
扇屋本店だった場所は、現在「きぼーる」と呼ばれる複合施設になっている。
蓮池通りへ
蓮池通りについて詳しく調査した記事についてはまた後日書く予定だが、かつて芸者遊びができた千葉県の中でも有名な歓楽街だった場所がある。現在も、その面影を残す黒壁が特徴的だ。
花街として栄えた蓮池通りでは、千葉県中央部分に眠る歴史を垣間見ることができた。
(訪問日:2020年6月)
-
前の記事
船橋「廣瀬直船堂」創業300年を越える老舗和菓子屋で当時の様子を伺った 2020.07.21
-
次の記事
【蓮池通り】かつての一大花街「蓮池」の過去と現在、そして不思議な料亭 -千葉⑵ 2020.07.23
コメントを書く