「旧気球聯隊第二格納庫」千葉市内最大の戦争遺跡、取り壊し前の貴重な見学会の様子を紹介!

「旧気球聯隊第二格納庫」千葉市内最大の戦争遺跡、取り壊し前の貴重な見学会の様子を紹介!

千葉市最大の軍遺構である作草部の「旧気球聯隊第二格納庫」が2020年9月に解体されるとの情報が入った。私は取り壊しの前に一目見ようと急いで撮影に向かったのが、一足遅く、立ちはだかる壁に外から眺めることしかできず。

前回の作草部公園~旧気球聯隊第二格納庫の探索については→

千葉市作草部の戦争遺跡めぐり「陸軍歩兵学校」~「気球聯隊第二格納庫」

だが、

なんとその数日後、見学会が開催されることになり、取り壊し前最後、建物内部に入ることができた。今回は千葉市に残る軍遺構について、旧気球聯隊第二格納庫から千葉公園を探索した記事。

千葉都市モノレール「作草部駅」

旧気球聯隊第二格納庫があるのは、千葉県千葉市稲毛区作草部1丁目の川光倉庫千葉支店。

最寄り駅は、千葉都市モノレールの作草部駅、天台駅であろう。今回私は作草部駅から降りたが、天台駅近くの作草部公園も遺構なので前回紹介している。

作草部駅にて

作草部駅を降り、国道126号線を北に進むと不二家レストランがある交差点がある。この「不二家レストラン千葉作草部支店」の看板も随分古そうだ。昔からあるのかも。スイーツのバイキングが気になる。

不二家レストラン千葉作草部支店

AM10:00→AM24:00とあるが、現在は22時までの模様。

不二家レストランの交差点を東に進む。

千葉県計量検定所

途中、古めかしい木造の平屋のような建物を見つけた。軍遺構に関係する場所でよく見かける、自衛隊などでも残っていることが多い木造の建物。なんだか怪しいと感じた。

木造…

「千葉県計量検定所」と表記があるが、この場所も調べてみると気球聯隊の跡地だった。

千葉県計量検定所

そして怪しいと思った木造の建物も、連隊の倉庫として使われていたらしい。現在も倉庫として使われているのか、駐車場の隅にポツンと残っている。

木造の倉庫

隣にある大きな高さの松の木も、連隊当時からのものではないだろうか。旧気球聯隊第二格納庫だけでなく、周辺の遺構も残っていて凄い。

現在も残っている貴重な倉庫
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「旧気球聯隊第二格納庫」見学会!

いよいよ来ました旧気球聯隊第二格納庫(川光倉庫)見学会!

2020年9月19日(土)10時~18時 開催

地元住民らによって開かれた見学会、当日は570人も集まったという。地元の方も熱意が素晴らしいですね…

旧気球聯隊第二格納庫見学会

前回の記事でも書いたが、旧気球聯隊第二格納庫は昭和12年(1937年)ごろに建てられたもの。太平洋戦争末期にアメリカ本土を狙う風船爆弾作戦に携わった旧日本陸軍「気球聯隊」。

第一格納庫は焼失してしまったが、第二格納庫だけが現在まで70年もの間残っていた。

しかしながら、老朽化が進み、今年売却され解体されることになったのだった。

第二格納庫

お昼頃に到着したが、既に多くの方が集まっていた。印象的だったのは、家族連れなど子供の姿もあったこと。てっきり年配の方が多いのかなと思っていたから、こうした歴史を若い人の記憶にも残るといいなと思った。

川光倉庫の敷地内

第二格納庫を下から見上げる。この大きさが伝わるだろうか…

高さ30m×横30m。格納庫の大きさからわかる、気球の大きさ。資料としては知っていても、実際に見るとなると全然違う。

高さ30m

まさに「百聞は一見に如かず」。

両側にスライドした扉から、大きな気球が飛び立つ姿を想像した。

かつての入り口

見学会の展示

見学会では、まず受付で名前などを記載し、新型コロナウイルス感染防止のために消毒や検温チェックなどを行う。

その後、売却先の企業名が入ったボールペンや、千葉市のパンフレットを頂いた。

考えよう 平和の大切さ」と題された30ページほどのパンフレットには旧気球聯隊第二格納庫のことだけでなく、千葉市全体の歴史が詳細に記載されていた。

正直、お土産というか、ここまで無料で良い資料がいただけると思っていなかったので驚き…凄い。

そして格納庫の壁には、関係する資料が展示されていた。↓の写真にあるのは、千葉市花見川区検見川町にあった無線電信所。

検見川送信所

現在も建物は一部残っている。まだ送信所についての細かい記事は書いてないが、隣にある検見川無線グラウンドについては以前書いた。→【廃墟】千葉・検見川無線グラウンドに残るノスタルジックな廃墟店舗

稲毛~検見川の航空写真

「史跡散歩道ガイドマップは千葉市が作成したもののようで、千葉駅を起点として12か所の史跡を探索することができる。

史跡散歩道

過去の地図や航空写真から見る旧気球聯隊第二格納庫周辺の歴史。

地図や写真を重ねて

左上の写真には、第二格納庫と公務員住宅が映っている。現在はマンションになっているが、第一格納庫跡地は公務員住宅であった。

右側の写真は戦前の第一格納庫と第二格納庫の写真。

貴重な写真

風船爆弾の全体図についての説明。

風船爆弾の全体図

 

個人で所有している写真も展示されていた。当時、周辺に住んでいた方のこうした写真が残っているのは素晴らしいことだ。

提供写真
提供写真2

建物を見学するだけでなく、貴重な写真が展示されており、とても勉強になった。

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旧気球聯隊第二格納庫へ

そして格納庫内部の見学へ!右側の扉から入る。

見学会へ

人が一人通れるくらいの入り口。

入り口

内部は少し暗い。まずは1階、右側にある方へ進む。

内部は暗め

床はこんな感じ。

倉庫1階「ダイヤモンドトラス工法」

倉庫1階の見所は、何といっても「ダイヤモンドトラス工法」。

1階

骨組みを三角形状に組み合わせることで、耐久性を高めるという工法。そのおかげか、現在も戦前と変わらない姿を保っている。

ダイヤモンドトラスが露わに

ダイヤモンドトラス工法を考えたのは、格納庫を建設した「巴コーポレーション」の創業者らしい。

1階の端

木製の壁も当時から変わっていないのか、傷んでいる部分があるが健在だ。

木製の壁

2階から荷物を下ろすための設備。

後付けの設備
ダイヤモンドトラス工法
地面は砂っぽい

奥まで続くダイヤモンドトラス工法。その鉄骨を支えに2段ベッドが設置されていたらしい。兵隊の宿泊施設として利用されていたようだ。

2段ベッドが並んでいた

また、千葉空襲で焼けた周辺の小学校の学舎としても利用されていたことがあるらしい。

手持ちのライトで奥まで照らすと建物の長さがわかる。

奥まで

もう2度と見ることができない格納庫なので、写真が多め。様々な角度から残しておきたい。

ダイヤモンドトラス工法は写真映えするなあ
木製の壁

奥までは立ち入ることはできない。

立ち入り禁止

頑丈につくられたダイヤモンドトラス工法につい見とれてしまう。

とても頑丈だ

4階へ

先ほどの入り口に戻り、左にあった階段を登る。かなり急な階段だった。

旧な階段

4階も倉庫として使われていた場所。

4階

よく見ると、天井が開いている。

4階も見学可能

端に行くほど天井が低い。格納庫がかまぼこ型であることがわかる。

かまぼこ型

天井はわざと開けたらしい。格納庫の屋根が去年の台風の影響で、剥がれてしまったのを確認することができる。

剥がれた屋根

それにしても、去年(2019年)秋に千葉県を襲った台風は悉く古い建物を解体の危機に陥らせている。私が知る限りでも、3軒目だ。

屋根から漏れる光

もちろん屋根にもダイヤモンドトラス工法。

ダイヤモンドトラス工法
隙間から
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雨漏りの跡

見渡していると、バケツが何個も置かれているのを発見。

バケツ

台風の影響で屋根が破壊され、雨漏りをしていたようだ。

バケツがいくつかある

床にもシミのように広がっている。

雨漏り

確かに、ここまで被害があると倉庫として利用するのは難しいのかもしれない。

落書き?

4階の見学を後にし、出口へ。

階段を下る

2枚扉のレール

現在は使われていないが、格納庫の大きな扉に滑車をつけて人力で押し開けていた痕跡が残っている。

レールの跡

このレールに注目している人はあまりいなかったが、重要な痕跡だ。

扉の前に

レールは格納庫の横まで続いている。

格納庫を横から見た写真

錆びているものの、レールがコンクリートに埋まっているのがわかる。

コンクリートに埋まっている

これだけ立派な遺構が、令和に至るまで残っているのは本当に凄いことだと思う。川光倉庫株式会社、そして地域住民の方によって開催された見学会にも感謝をしたい。

旧気球聯隊第二格納庫全体

敷地外から見た旧気球聯隊第二格納庫の写真についてはこちら↓

千葉市作草部の戦争遺跡めぐり「陸軍歩兵学校」~「気球聯隊第二格納庫」

千葉公園

旧気球聯隊第二格納庫の見学会のあとは、千葉公園まで足を延ばし、史跡めぐりへ。

千葉公園

架橋演習橋脚

架橋演習橋脚(かきょうえんしゅうようきょうきゃく)の一部が残っている。

架橋演習橋脚

千葉公園から千葉東高校南側一体が鉄道第一連隊の演習作業場となっており、このコンクリート製の橋脚も演習に使用されていたものだという。

説明看板

公園の道沿いに一部残っている。

元鉄道隊架橋訓練跡

演習用トンネル

千葉都市モノレール「千葉公園駅」傍にあるのは演習用トンネル。

演習用トンネル

コンクリート製のドームは工事演習用に使われていたもの。

説明看板

この日は駐車場が開いてなかったので近寄ることができず。

マーク

解体前に旧気球聯隊第二格納庫の内部まで見学することができて本当に良かった。解体することはやむを得ないことであるが、記録として残ることは大事だと思う。

できるだけ、解体の前に後悔しないように撮影をしていきたい。

 

(訪問日:2020年9月)