千葉市立郷土博物館「陸軍気球聯隊と第二格納庫」。気球連隊の企画展が開催
千葉市立郷土博物館で開催されていた展示「陸軍気球聯隊と第二格納庫」を見に行ってきました。展示は撮影、SNSアップがOKだったので展示の一部を紹介します。
千葉県立中央図書館
千葉県千葉市中央区亥鼻1丁目6−1。千葉駅から歩いて亥鼻公園へ。
千葉県立中央図書館は私がブログを書く際に使う資料を集めるときに利用させていただいてます。
私はあまり建築に詳しくないけれど、建物を設計したのは大高正人さんで日本を代表する現存の近代建築の一つらしい。
昭和43年(1968)に建造された建物。館内もコンクリートの美しさを堪能できるデザインになっていて、他の図書館にはない雰囲気。詳しくは「日本の佇まい」というブログの方が書いています。
「陸軍気球連隊と第二格納庫」の企画展
今回の目的である千葉市立郷土博物館で開催されていた「陸軍気球連隊と第二格納庫」の企画展へ。
2021年5月26日~7月11日
入場無料なので気軽に行くことができるのも嬉しい!
2020年9月、企画展の半年ほど前に解体された「気球連隊第二格納庫」。見学会の様子は以前まとめたので参考に→「旧気球聯隊第二格納庫」千葉市内最大の戦争遺跡、取り壊し前の貴重な見学会の様子を紹介!
今回の企画展は”千葉市立郷土博物館が地域の博物館としてできることはなにか”と考え、所有者、解体業者の方に部材の一部を譲っていただいたそうです。
素晴らしい企画展ですね…!地域の方に愛されていた建物だったのだなと改めて思います。
また、撮影は自由とのこと。博物館でこんなに寛大な展示は珍しいのでびっくりしました。若い人でも見やすいですね。
気球連隊についてのパネル展示
1.軍隊において気球は何を期待されたのか
気球連隊についての詳しいパネル展示が並んでいる。
明治~昭和にかけての気球の変遷。
大正7年に描かれた自由気球。
大正15年に撮影された第一格納庫。こちらは現在マンションが建っている。
大正15年「一型自由気球」の絵葉書。第一格納庫に格納されている様子。
こちらは、解体された第二格納庫が映っている絵葉書。
明治時代に発行された小判切手に気球が描かれているのが興味深い。
西郷隆盛と気球が描かれた風刺画らしい。
3.陸軍の気球隊創設から所沢時代まで
気球班から気球隊へ。明治40年に現在の東京都中野区に新設、その後大正2年に埼玉県所沢市へ移転した。
新発見と書いてあるのは、中野にあったときの気球連隊の写真。中野の方の歴史も今度記事にまとめたいな~
こちらは、大正期の所沢気球隊の表札。
大正期、所沢飛行場の絵葉書。
大正2年に落成した所沢の大格納庫。凄いスケール…
当時、陸軍は飛行船の開発も進めていたため、長大な格納庫を必要としていたという。
千葉に移転した気球連隊
昭和11年、千葉。気球隊から気球連隊へ。連隊への昇格を記念する記念祭が開催されている様子が映っている。
企画展では、その飾り門が復元されていた。実際は2倍以上の立派な門柱だったという。
手造りの門柱、丁寧に作られていてほっこりした。
4.千葉に移転した気球連隊
所沢の飛行場に不便が生じたため、昭和2年、千葉市北側の作草部へ移転した。移転の際は、官民あげて移転を歓迎し、花火まで上がったらしい。
「軍都千葉がさらに繁栄することを願っての地元関係者の歓迎であったが期待に反して規模が小さいことに失望した記録が残る」というのが面白い。
2つ存在した格納庫の写真。
赤い線で囲われているのが気球連隊。北に陸軍歩兵学校、南に鉄道第一連隊などが描かれている。
昭和10年、気球連隊の俯瞰写真。第二格納庫が右側に映っている。
上空写真。厨房や浴室、洗濯物干場、酒保(購買・娯楽)などがあったはずだが、その場所の特定が今後の課題とのこと。
昭和12年頃、第一格納庫の裏側の絵葉書。
中国中央部での演習の様子。
昭和17年「アサヒグラフ」。フィリピン・バターン戦線の気球隊。
軍盃の展示
兵士が兵役を終えて除隊する際、お世話になった知人等にお返し、お礼として配った記念品である軍盃(ぐんぱい)。気球がデザインされている。
母が軍盃を集めているので今までにいくつか見て来たが、気球連隊のを見るのは初めて。【骨董品】木下骨董市で購入した石蹴り・軍盃・紙類
裏面には桜がデザインされていて現在見ても美しいなと思う…
6.本土防衛と軍用気球
昭和12年、気球に描かれた日の丸が魚やクジラの目に見え、多くの人に不気味な印象を与えたという。
防空気球とその役割について。敵飛行機の飛行や攻撃を妨害することを目的とした気球。
三菱鉛筆の広告、「勝つための鉛筆」というのが興味深い。
第二格納庫についての展示
第二格納庫で使用されていたダイヤモンドトラスの鉄骨部材の一部。
部材の詳しい大きさが描かれている。間近で見ることが出来て嬉しい。
こちらは、第二格納庫の模型。
3Dプリンターによる復元とのこと。
模型の上には気球の再現もあってわかりやすい展示だなと感じた。
第二格納庫解体から現在
第二格納庫は現在更地に。
北側にあった塀も解体されたとのこと。
また、コンクリートの一部も展示されていた。完成から86年経ってもヒビがほとんど無いという。凄い…
第二格納庫と気球と桜。
解体中の写真。「千葉市近現代を知る会」の方による写真とのこと。
今回の企画展、小学生らが遠足?で訪れていたのと重なって子供たちが多く見学していたが、手作りの展示、実物が展示されていたので歴史に詳しくなくても見やすいなと感じた。
一宮の風船爆弾
また、千葉県の一宮町にあった「風船爆弾」の関係施設についても展示があった。
一宮の海岸沿い。リゾート地として古くから賑わった場所だと思うが、風船爆弾の歴史は初めて聞いた…
風船爆弾打ち上げ基地跡地の石碑が立っているとのこと。
現在もコンクリートの一部が残っている。
一宮の市街地ではなく、今度は旧軍隊遺構を見に行ってみたいなと思った。
千葉市立郷土博物館の展示
千葉市立郷土博物館の通常の展示も千葉市の古写真などが展示されていて勉強になる。
また、昭和の団地の再現もあった。千葉県内には松戸、佐倉の博物館に団地の展示がある。
他の博物館よりも簡素な展示ではあるが…
千葉公園にあった千葉県公会堂の写真。お城みたい…!
昭和34年、幕張海岸沿いに建つ建物は、「洸洋館」と呼ばれた映画館が移築されたものだという。
映画館を移築…?調べてもあまり情報が無いのでどういう活用となっていたのか気になる。
千葉市立郷土博物館では定期的に企画展が開催されているので歴史好きな方は要チェックです!
(訪問日:2021年7月)
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