千葉「市場町商栄会」。房総往還沿い、看板建築が並んでいた通り
亥鼻公園の西側、房総往還沿いに広がる商店街を歩いていると昭和30年代にタイムスリップしたかのような懐かしい気持ちに。
お店の人に話を伺いながら歴史を辿ります。
大和橋付近の建物
都川に架かる大和橋を渡り、房総往還を南下する。
都川沿いに残る古民家が気になった。
以前にも紹介したが、この建物の裏に煉瓦造りの古そうな蔵が残っているのだ。→【千葉散策】千葉駅から蓮池通りを歩く…旅館、教会、レンガ建築、街中の建物。
和田商店の建物だろうか。
そしてさらに吾妻橋近くの裏通りにもピンク色の下板見張りの建物。この一角だけ古き良き建物が残っているのが奇跡的。
最初の大和橋に戻り、大和橋から見える古民家は表通り沿いにある中島ふとん店の建物だろうか。
市場町商栄会の街並み
大和橋の交差点から南へ、房総へと続く房総往還を歩く。
文具を扱っている和田商店は営業中。
街灯が立っているが、文字が消えかけていて見えづらい…
よく読むと「市場町商栄会」らしい。
商店街の紹介によると、会員数は36店舗。
千葉の官庁街といわれる立地にあり、商店街の前には千葉県庁、県警本部。
古い商家や町並みも残り歴史的風情のある商店街。
千葉の官庁街か…果たして現在はどのような商店街が広がっているのでしょうか。
奥に見えるのは千葉県庁の建物。その手前にある看板建築のような建物がバブル時代を彷彿とさせるような雰囲気。
令和の時代にはこういう金色のメタリックなデザインは、なかなか見かけないだろうな…
昔ながらの建物というよりも、建替えられた3階建てのビルが並ぶ街並み。
渋い松屋陶器店
松屋陶器店の入っているビル。現在は閉店しているが、手前には萬崎洋服店も存在した。
2010年のストリートビュー
松屋陶器店は現在も営業中。「千葉市中心市街地ガイドマップ」の紹介によると、創業は大正7年!
創業大正7年!千葉の歴史とともにある食器専門店 「先々代が静岡から東京に修行。品質と信用を重んじ95年続けてこられたことはとても誇りです」と3代目。
現在3代目。昭和レトロな食器を買うなら松屋陶器店とのこと。
看板建築の存在を知る
そして、なんと2010年のストリートビューを見ていると松屋陶器店の隣に看板建築の姿が…!!ここに存在したのか。
千葉市内の看板建築は貴重なのでずっと探していた建物だった。10年前に解体されていたとは…一度見てみたかったな。
向かいにはカステラ屋の「長崎屋」。次回紹介予定。
そして長崎屋で古写真を見せていただいたのだが、その写真にも貴重な看板建築の姿が映っていた。洋服店などがビルに建て替える前は看板建築が並んでいたのだな…
アーケード屋根が並ぶ
歩道沿いにアーケード屋根が一部残っている。この建物は書店で政府刊行物・官報公告を扱っていたようだ。
靴屋の「ナガシマ」は閉まっているようだった。
2010年のストリートビューを見ると手描きの広告が凄い…
交通量は多いが閉まっているお店が多く、官庁街の雰囲気はあまり感じられず。
次回紹介予定だが、豊月和菓子店で商店街の昔の様子を伺った。
かつては裏通りを中心に料亭や旅館が並び、銭湯「亥鼻湯」も存在した。見番は無かったが、昭和の時代にはコンパニオンが多く、官庁街として賑わっていたのだろう。
街並みのビル化は、船橋の本町通りを参考にするため、見学に行ったという。船橋の本町通りが防火対策としてビル化したのが昭和30年代、その後に3店舗ずつビル化し、現在の街並みになった。
複数の店舗で合同にビルにしているため、取り壊すの大変とのこと。
ビルの外観も透かしブロックのデザインは昭和感満載。
建替えたくてもそう簡単には進まないため、一昔前のまま残っているのだ。
県立図書館入り口の交差点から亥鼻公園側に行くと、裏通りに残る一軒の建物。
現在は新しいマンションなどが並ぶ裏通りにも、2012年頃までは平屋の建物が並んでいた。
この裏通りに料亭や旅館があったなんて信じがたいな…
そして、商店街の南側、角に一際古いお店を発見。
錆びた倉庫…
隣りの薬局「矢澤」は営業中。千葉の中心を歩いているとは思えないほどの昭和感!良い意味でのギャップを感じて面白かった。
薬局の近くにあった商工案内。
遠くまで昭和を探しに行かなくても、案外身近に残っていたりするものだなと再認識。
(訪問日:2021年7月)
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一番最後の写真の建物の一階に、安田という鰻屋がありました。この建物の県庁側手前、右側県立中央図書館方面へ道が分かれているのですが、こちらにもかつては、安田の店舗がありました。立派な門構えで、入口に季節の花が活けてありました。道沿いに長い壁があり、屋号の記された小さな看板が掛かっていました。こちらは料亭のような建物だったのだと思います。結局、どちらも入店することなく店じまいしてしまい残念です。千葉市街では、同じく鰻の老舗正木屋さんも閉店したとかで、やはり思い立ったらすぐに訪れなければなりませんね。
松屋陶器は7月28日で閉店したようです。建物解体されるそうです。詳しくは同店のHPをご参照下さい。
今から60年以上前になりますが、子供の頃に一時的にこの近くに住んでいたのですが、何しろ子供なので「うなぎ安田」の存在には気が付きませんでした。近くの川で釣りばかりしてましたからね。
それが今年突然睦沢町立歴史民俗資料館で企画展「老舗料亭の風情」が開催され、その老舗料亭が安田だったのです。(企画展は2024年6月16日に終了)
パンフレットによると元は木更津の旅館「あぶらや」で、その後1873年の千葉県庁開庁にあわせて1871年に創業し、田中角栄も訪れたことがあるそうです。
店舗は離れ座敷、大広間、庭園のある料亭で、1963年に3階建てのビルを建設し割烹も始めたとか。
企画展では調理器具、お椀、磁器、半纏なども展示されていました。
お椀は輪島塗のお椀を使用していたそうで、漆黒の黒が料理を引き立たせるからだそうです。
安田はその後140年間続き、2014年に閉店しました。
使用された品が睦沢町歴史民俗資料館に寄贈されたのは、四代目女将の故郷が睦沢であった為だそうです。
睦沢町立歴史民族資料館は学芸員の方が熱心なので、なるべく観に行く様にしてるのですが、余り宣伝しないのでうっかりしてると見落としてしまう事が多いのです。
しかし今回は間に合って良かったです。