ボトルディギング第1回目!レトロ瓶の世界へようこそ
今回は、私が最近ハマっている「ボトルディギング」という趣味について!2021年5月に初めてその趣味の存在を知り、実際にボトルディギングで瓶に触れる機会がありました。
ボトルディギングについて、知らない方も多いと思うのでその魅力や方法についてまとめようと思います。
ボトルディギングとは?
「ボトルディギング」という言葉自体、馴染みが無い人がほとんどだと思うので紹介します。
『日本のレトロびん』にボトルディギングの説明、用語などが書いてあるので私も始めるときに参考にしました。
ボトルディギングとは、文字通りびんを土の中から掘り起こすことをさす。元はボトルコレクションの本場でもあるアメリカのびんの収集方法で、アメリカでは野外トイレの跡を掘っていたというが、現代の日本では崖の斜面や茂みなど昔のゴミ捨て場(ハケ)を掘るのが主流。
アメリカが本場ということに驚きました。日本ではまだまだマイナーな趣味のようですが、SNSで検索すると多くの方が活動をアップしています。
ちょうど、5月頃から骨董市にハマり、その時にレトロ瓶を購入。骨董屋の方が「ボトルディギングという瓶を掘る方がいて、その方が瓶を売っているのよ~」と話していたのをきっかけに、高い値段で購入するよりも、自分で掘ってみたいな!と思ったのが始まりでした。
でも、どこで掘るんだろう?瓶の種類も全然わからない…
という全くの素人だったので、先ほどの本や、YouTube動画で勉強をしました。動画は「めぇちの宝探し」というチャンネルがとてもわかりやすくてお気に入りです↓
ボトルディギングをする際の注意点↓
しっかりとマナーを守って行いましょう
注意
・瓶を掘る際は、地主の方に許可を得る
・ゴミの処理をきちんと行う
・瓶を見つけた場所(ハケ)を公開しない
昔の人のゴミ捨て場(ハケ)を公開しないというのは暗黙のルールになっているので、最初は皆さんがどこで瓶を見つけているのか、とても不思議でした。
でも、長年の街歩きや歴史探索のおかげで、古くから栄えていた場所がわかるので、徐々にハケを推測できるようになってきました。
海で瓶を探すことは、「ビーチコーミング」と呼ばれるらしいです。私はまだ海で探したことはないのですが、いずれ挑戦してみたいですね。
サンフィル&キリンレモンのレトロ瓶
まず、ボトルディギングに入る前の話。
ある日、お母さんが「瓶を見つけた!」と言って2本のレトロ瓶を持ち帰ってきた。それがこちらの、サンフィルの1L瓶とキリンレモンの瓶。
土に埋もれる瓶の頭を見かけたらしく、取り出してみたら2つの完品が出てきたとのこと。
上の写真は中身を取り除いた後なので少し綺麗ですが、丁寧に洗ってみると次のような写真に。まるで新品のよう。
サンフィルというジュースはこの時初めて聞いたのだが、親の世代は馴染みがあるようで、オレンジジュースだったという。
現在はHI-Cに完全に統合されており、無くなっているが、イメージとしてはHI-Cのオレンジジュースと似ているのかもしれない。
また、1リットルサイズのリターナブル瓶というのも今は珍しい。
左のキリンレモンは340㎖。下の写真、左は2020年12月で製造終了になったキリンレモンの200㎖の瓶。
比べてみるとその大きさの違いが良くわかる。また、デザインも若干異なる。
今回見つけた、右の瓶が発売されたのは、昭和33年(1958)。その後、昭和40年(1965)に左の瓶のデザインが発売されている。
2020年12月で製造終了になったので、キリンレモンの瓶はもう新たに見かけることはないのかもしれない。以前飲んだ時、保存しておいてよかった。
ボトルディギングへ
レトロな瓶が二つ落ちていたという母の情報から、私も後日、その現場に母と一緒に行ってみることにした。
場所は言えないが、遠い場所ではなくそんなに田舎でもない。ただ、その土地の持ち主の方に会うまでが大変だった。数時間か待ち、許可を得ることができた。
その後、昼前くらいから実際に掘り始めると…
割れたお茶碗やガラス破片が大量に出てきた。ここは、昔のゴミ捨て場(ハケ)に間違いない。
お昼ご飯を食べるのも忘れて、夕方頃まで数時間ずっと掘り続けた結果、様々なものが出てきた。(バケツ、シャベル、スコップ、軍手などは持参)
初めてのボトルディギングにした上出来なのでは?と自分を褒めたい…山の斜面ギリギリの場所もあって、大変な姿勢で掘っていたので後日筋肉痛になってしまった。
ボトルディギングを趣味にされている方々は本当に凄い。まだ5月で夏前だったものの、それでも暑くて夏は到底できそうにない。
骨董市で瓶を購入する方が正直楽。
ジュースの缶は錆びているので洗ってもダメだった。割れた1リットル瓶も数本出てきた。ゴミ捨て場なのですべての瓶が完品とは限らない。割れてしまっているものも多数ある。
その他大量にガラス破片があったので、割れて粉々になっているものがたくさんあるのだろう。私たちがボトルディギングをしなければ、ずっとゴミとして忘れ去られる存在。
途中、土地に関係する方に話しかけられたが、「掃除してくれた有難い」という労いの言葉を頂いた。元々ゴミ捨て場として知られた場所らしく、掃除をするのも大変だと話していた。なので出来る限り、出たお茶碗の破片などは持ち帰って処分することにした。
これらの大量の瓶を持ち帰るのも大変。途中で割れてしまったら水の泡だからだ。慎重に持ち帰り、水で流してみると、キラキラと輝く瓶が姿を現してきた。
しかし、瓶は掘るのも大変だが、洗うのも凄く大変…
長年のガラス表面の曇り、スキマに入ったゴミ、すべてを取り除きたい。
時には細い針金を使ってスキマのゴミを丁寧に取ったり、1日中洗浄作業に追われることも。想像以上の大変さでした…
でもそれくらい大変な思いをして手に入れた瓶は、ほかの方から見たらゴミかもしれないけど、私にとってはお宝。昔の瓶は案外、身近に眠っているのです。これからも少しづつ見つけていきたいなと思います。
次は、今回見つけた瓶を一つ一つ紹介します!
カルピス
まずは、カルピスの瓶!茶色の大きな瓶は、見たことがある方もいるのでは?
カルピスの歴史が「アサヒ飲料のホームページ」にまとめられているが、大正6年(1917)に生まれたカルピスの歴史はとても濃い。
「初恋の味」のキャッチフレーズは大正11年(1922)。
陸軍の納入するためにつくられた「軍用ビタカルピス」というのも興味深い。健康飲料として知られていたのですね。
原液が重いという理由から、2004年に瓶入りカルピス瓶の販売が終了に。私が生まれた少し後まで存在していたのか~!
カタカナとローマ字でカルピスの文字が入っている。
この瓶は昭和のものと考えられる。状態が綺麗なので大事にしたいと思う。
堀越 ホーカー液
今回、一番のお気に入りの瓶!皆さんは何の瓶だかわかりますか??
全長10㎝弱
正面「ホーカー液」と斜めに記載
裏「堀越」
透明
形が香水の瓶みたいでとても可愛い。が、ヒビが無数に入っているので割れないか心配。
ホーカー液は、堀越嘉太郎商店が販売していた美容液とのこと。
熊谷市立江南文化財センターの「遺跡出土ビン展」に詳しくまとめられているので引用する。
ホーカー液は、明治 42 年(1909)創業の東京神田に所在した堀越嘉太郎商店が、大正時代に販売した高等美顔料白味剤(日焼け対策美白コスメ)です。キャッチコピーは、「日傘ひとつで日焦げは防げません」でした。堀越嘉太郎は、販売促進の天才と言われ、新聞や雑誌を利用した広告戦略や、懸賞・観劇・遊覧ツアーなどのキャンペーンを多用する販売戦略により業績を伸ばしました。この「ホーカー液」の名前の由来は、堀越の「ホ」と、嘉太郎の「カ」を併せて「ホーカー液」と商品名を変えたとのことです。
瓶マニアにとっては有名な瓶で、マーケティングに優れた方だったことがわかるエピソードは今の私たちにとっても学ぶ点がある気がする。
私が見つけたのは当時の豪農の土地だと思われるが、農作業をしていたからこそ、日焼けに気を遣っていたのかもしれない。
KS
次はこちら。
全長:6,5㎝
中央に「KS」のマーク
透明
KとSが重なったようなマークが正面に。何の瓶かわからなくてモヤモヤしている瓶。
薬の瓶かな?もし知っている方がいたら教えてください~
佃煮の瓶
次の瓶はとてもわかりやすい形!
そう、佃煮の瓶!
全長:9.5㎝
うっすらと黄緑色
でも全体的にうっすらと黄緑色になっていて、光を当てるととても綺麗。
観明光
まさか、初回で目薬の瓶と遭遇できるとは!見つけた時は大歓喜でした。
全長:5㎝
観明光
メグスリ
とても小柄なメグスリの瓶。形が歪で、口の部分が少し曲がっているのが愛しい。
観明光メグスリは、大正時代後期に既に存在していたらしい。
そして、観が旧字体。
とあるブログを読んでいたら、戦前に東京の下町でこの目薬の制作に携わっていた方のコメントがあった。昭和2年に開業したアサヒ薬局でつくられていたが、東京大空襲で焼けてしまったため、約20年弱の薬局だったということである。→「hiroimono」
もう、10年も前のコメントだけど、戦前の薬局の歴史を知ることができて凄い。
このブログの方も千葉で見つけたとのことだったので、もしかしたら千葉県で多く流通していたのかもしれない。それにしても、明るい光を見るという目薬はよく効きそうだ。
柳生令徳堂
こちらも目薬の瓶。
全長:5,5㎝
柳生令徳堂
ほしとり目薬
角が凹んでいる
角が凹んでいるのは、目薬を差す際のスポイトを差すため、と言われている。
裏面の「ほしとり目薬」ってどういう意味絵だろう?
上に書いてある文字が消えてしまっているのは残念。
みやこ染め
「みやこ染め」の瓶。
全長:6㎝
みやこ染め
裏に山に三のマーク
透明
みやこ染めは、染料。明治23年(1890)創業の桂屋が扱う商品であるが、現在も会社はみやこ染めを扱っているとのこと!ホームページに歴史が記載されている。
家庭用染料のみやこ染めが販売されたのは、明治29年(1896)。
今回見つけたものは、戦前ものだと思う。裏面の三のマークは何なのだろう?
ハエ取り瓶の蓋
2つの瓶の蓋。何だろう?と思っていたら、「ハエ取り瓶」の蓋だと教えてもらった。
傘の直径:5㎝
水色と透明
ガラス製のハエ取り瓶。
亀山市歴史博物館の記事にまとめられているのがわかりやすい。ハエの習性を上手く利用した瓶だが、大きくて薄いので本体の完品は珍しいのだとか。
蓋だけでも見つかって嬉しい。
透明と茶色の瓶
こちらは透明と茶色の瓶。特にエンボス(文字)はないので名もなき瓶。
名もなきといっても、透明の瓶は気泡がたっぷりでとても綺麗。昔は技術が発達していなかったからこそ、不均一な美しさを感じられたのだな~
下の写真はガラスの蓋。何かの瓶の蓋だと思う。
思っていた以上に今回のハケが古く、戦前の瓶が見つかって嬉しい。
身近にあるものの歴史を考えるきっかけになると幸いです。
(訪問日:2021年5月)
-
前の記事
船橋「小室ラッキー商店街」。北総線小室駅前の商店街の現在の姿 2021.10.08
-
次の記事
松戸「小金宿中央通り」。骨董市~旧旅篭の建物~銭湯 -北小金⑸ 2021.10.09
とても珍しいトピックですね。ボトルディギングのことは聞いたことないので、記事で詳しい紹介ありがとうございます!時間が経ち、レトロなボトルは宝物のようになると思います。Keep up the interesting articles! : D
ありがとうございます!!記事を書いて本当に良かったです~!これからもよろしくお願いします!