富津・青堀の商店街の街並み。近代建築・旅館・須藤飲料工業所など -青堀⑶
青堀温泉周辺の商店街の街並み。神社、旅館、老舗和菓子店…情報は少ないけれど、魅力的な建物が残っていて、足を伸ばして正解だったなと思える街並みでした。
青堀「大堀神明社」周辺
千葉県富津市大堀。前回の記事のつづきで、国道16号を君津方面へ歩いている。右手のシューズショップふじやは閉業。
並びにあるのは、ビューティショップアンドウ。こちらも閉まっている。
向かいには「山晴堂」。40年の歴史がある文房具兼書店らしい。
そして、大堀神明社の鳥居。
ここの鳥居は青銅で出来ているのかな?錆びて少し黒くなっているが、青々とした鳥居の姿はきっと美しいだろな~
鳥居の右手、境内の角に気になる石碑を発見。見落とすところだった…
中央の文字が読みづらいが、左側面の文字は読める。
中通 さぬき
左 かのうさん
中通とはどの道を指しているのだろう?現在の国道16号のことかな?
そして”かのうさん”というのは、鹿野山の事だと思う。昔は重要な石碑だったのかもしれない。
青堀中央の商店街
神社から国道16号をさらに北へ。青堀中央の商店街を歩きます。
神社の隣、古い旅館のような建物が残っていた。
手前が駐車場。別館とあるが、ここはお食事処天庄というお店。”歓迎”の看板が見えるので旅館のような雰囲気だが、宴会場かな?
本館はどこだろう?検索しても情報が無いが、最近まで営業したと思われる。
右手は、宝石・時計・メガネを扱う加地。左は福原肉店。
さらに並びには、刺身の専門店、全日食チェーンのフレッシュサカエヤ、スナック。
衣料品・贈答品を扱う正直屋。店名が素敵。
その隣が青堀温泉の老舗旅館「静養園」。現在は閉業…青堀温泉の歴史については次回の記事でまとめます…
さらに国道沿いを進む。
現在は倉庫?トタン板で覆われた蔵が気になる。どこの所有なのだろう?
2階建ての建物はシャッターが下りていて寂しいが、かつてはスーパーのような商店だったのだと思う。
青堀温泉の商店街
青堀温泉街の中心地へ。温泉街として賑わっていた頃は、さぞこの商店街も賑やかだったのでしょう…現在は車が素通りするのみ。
右手、鮮魚仕出し魚保。
ほぼ営業しているお店が無いので諦めていたが、和菓子屋「むらたや」が営業中だった!
タイル張りのトタン板のようなもので覆われているが、建物自体も古そうで歴史を感じる…
帰りに立ち寄ろうと思っていたら、お客さんと立ち話をされている様子で入れず。残念。
駅からは離れているので完全に青堀温泉と関係がある商店街。青堀温泉が衰退している現在、商店街の方も衰退するのは自然の理…
さらに向かいに、近代建築らしき建物が並んでいる!右手前は薬局「西部薬品」が営業中。
こちらも板で覆われているが、窓の格子や右手の看板建築のような小さいファザードが昭和初期頃の雰囲気…
2012年頃にあったお店のテント屋根が撤去されたため、建物の全体が良くわかる。
隣の建物は既に入り口が封鎖されているが、二階の窓枠が美しい。
こういう建物は文化財に登録されずにひっそりと消えてしまう運命だと思うが、本当に今まで良く残っていてくれた!見ることができて嬉しい。
日東バスの青堀鉱泉前のバス停。ホテル喜楽館は閉業してしまったので、青堀鉱泉前という表示が切ない…
創業明治十年とのことなので、商店街も同じく明治頃から賑わっていたのだろうか。
小糸川周辺
青堀温泉から小糸川を渡った先まで足を伸ばしてみることに。
ビジネスホテルの隣の敷地内にある蔵。
ビジネスホテル新栄。こちらは比較的新しいホテルのようだ。
須藤飲料工業所 ハルマジュース
現在は改装されているが、須藤飲料工業所の建物が2012年頃、味わいのある建物だった。
SUDO INRYOと書かれた建物。建物の形は変わっていないので、外観だけ改装したのかな?
調べたら、「Drink! Drink! Drink!」というブログで須藤飲料工業所のジュース瓶が紹介されていた。
ハルマジュース 200ml瓶です。
ハルマジュースは、千葉県富津市にあった須藤飲料工業所の製品です。
南房総ではそれなりにメジャーだったのか
比較的よく出てきます。
1960年代以前の商品らしい。
現在も社名が書かれた看板があるので会社は存在するのかと思っていたら、2011年5月の「おらほのローカルジュース」という記事で廃業していると書いてあったので驚いた。
須藤飲料は当地域で唯一の自社製造飲料会社で、創業当時はラムネの販売からスタートしました。
「HARUMA」は自社ブランド名で、ジュース・コーラ・サイダーを販売しておりました。
ローカルジュースの製造所、千葉県では今まで見たことが無かったので貴重な存在。青堀に存在したとは…この辺りは水質が良かったのかな。引き続き調べよう。
川の手前に古民家がポツンと残っていた。隣にあった釣具店の建物は更地に。
小糸川 君津市へ
小糸川へ。ここからは君津市。
古くは、製炭地として有名だったが、昭和31年に灌漑・上水道用の三島ダム、同44年には京葉工業地帯への興行用水源として豊英ダムが建設されたと角川書店「角川日本地名大辞典」に載っている。
人気の旅館かわな
橋を渡った先には「旅館かわな」。
大正8年、創業100年と歴史ある旅館だが、改装しておりバリアフリー設計、さらに露天風呂が美しいとSNSで紹介されているのを以前見たことがある。まさか青堀に近い場所にあると思っていなかったので歩いていて偶然遭遇した時はびっくりした。
船宿として創業したらしいが、青堀温泉の旅館が閉業する中、現在も変わらずに営業されているのはとても嬉しい。今度泊まってみたい。
君津市漁業資料館
最後に、商店街の裏に気になる鉄塔を発見したので近寄ってみた。
これは昔の火の見櫓?隣の消防団の建物がある。
追記:記事に送ってくださったコメントによると、ホース干しではないかと…!ホース干しという発想が無かったので有難いです~
隣接している建物は、君津市漁業資料館。入館は無料。この時は時間が無かったので入らなかったが、じっくり見学したいので別の日に訪れたい。
私たちのふるさと“君津の海”は、江戸時代の終わりごろ江戸(今の東京)でノリ商人をしていた近江屋甚兵衛が、たいへんな苦労と努力を続けた結果、千葉県で初めてノリづくりに成功し、上総ノリが生まれたところとなりました。
それ以来、ノリづくりを中心とした君津の漁業は、多くの人々の努力によって、長い間受けつがれてきましたが、昭和30年代の終わりごろから海はうめたてられ、君津は漁業から製鉄のまちへと大きく変わっていきました。
そして、ノリづくりや漁業に使われた道具は、少しずつ失われていきましたが、郷土の歴史や産業の様子を後の世に残そうという考えのもとに、漁業資料保存会の皆様が長い年月をかけて、たくさんの資料を集めてくださったのです。
君津市漁業資料館前の説明看板。
君津の漁業から製鉄への変遷を知る事が出来る資料館。
貴重な資料を無料で見学できるのは有難い。今度は和菓子屋さん、旅館に泊まって資料館を見学するコースを組みたい。
(訪問日:2021年9月)
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火の見櫓?はホース干しではないかと思います。上部に留まりやすくないのと半鐘もないので。ホースを引っ掛けやすそうなアームと滑車がありますし。
ありがとうございます!訂正しました!