老舗旅館「竹村旅館」。大鷲神社門前、解体直前の様子を記録 -安食⑹

老舗旅館「竹村旅館」。大鷲神社門前、解体直前の様子を記録 -安食⑹

安食のランドマーク的存在だった建物がまた一つ消える。解体直前、運が良く撮影することができたのでこの記事で記録に残しておきたい。

安食交差点の「竹村旅館」

千葉県印旛郡栄町安食3670。かつて水郷の町として栄えた安食のランドマーク的存在として、交差点の角に佇む「竹村旅館」の建物。

大鷲神社の参道の正面に佇む旅館を目の当たりにすると、この旅館がこの場所に建っていることがどれほど価値が高いかを思い知る。

竹村旅館

今回、安食に訪れた目的はこの建物を見るためだった。しかし、この旅館は、1か月以内に解体されるという。ちょうど解体の準備をしているところだった。

訪れたのが6月なので、記事を書いている今はもう更地になっているのかな…

2021年6月

旅館の奥に更地が見えるが、そこにも古い建物がつい最近まであった。

旅館も含めて、道路拡幅工事のため、解体されるとのこと。

旅館の正面

写真にはなるべく車を映さないようにしているが、交通量はとにかく激しい。

県道18号と国道356号が混じるT字路。大きなトラックの往来も激しく、事故が絶えないのだとか。事故のことを考えると角に佇む旅館の建物が解体されるのも仕方がないのかもしれない。

2014年のストリートビューより

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竹村旅館の歴史

安食の歴史とともに歩んできた「竹村旅館」。残念ながら詳しいレポートは残っておらず情報が少ない。

ガラス戸が綺麗だ

幕末創業の竹村旅館。

平成20年の「利根川 川歩き」の記事に「この日の宿は創業百年という「竹村旅館」(今にもつぶれそうな安食唯一の宿)」と書いてあるので、10年ほど前までは旅館として営業していたことがわかる。

2階

2006年に宿泊した方の記事「六式~りくしき」が館内を映す貴重な写真。

解体前の片づけをしていたため、最後にお話を伺うことも叶わなかった。もう少し早く訪れていれば…またしても後悔の念が襲う。

解体直前だった

角の部分の覆われている場所はなんだろう?

気になる角

台所かな?

事故が多い角

地元の方が建物を残すように保存活動をしたようだが、古い建物を維持する事は簡単なことではない。当事者の負担が大きくなってしまうので、外部の私たちが簡単に口出すことはできない。

だからせめて記録だけでも残しておこう。

安食が繁栄していた頃。多くの人が宿泊した旅館。今は街道を歩く人はほとんどおらず、車で皆素通りするのみ。

1949年発行『全国市町村便覧』(全国教育図書)にて竹村旅館が「全国旅館等級別一覧表」に載っている。(ランク1が最高)

4 竹村
5 常盤屋

最近は、工事関係者が長期滞在することが多かったという。100歳を越えるおばあちゃん、コロナがなければ安食の歴史を伺いたかった…

旅館の奥

安食の最後の旅館。文化財登録されてなくても立派な旅館が、千葉県にもまだ眠っているんだな…

解体作業へ

そして、軒先には「風俗営業(料理店)」の鑑札看板も。

風俗営業(料理店)

深く突っ込むことは避けたいが、この旅館が安食の賑わいを伝えていたことは確か。最後の名残がまた一つ消えていく。

 

(訪問日:2021年6月)

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